医学生物学系のPh.D.研究者として企業で生き抜く方法



第3回(更新日:2012年2月23日)

どうすれば博士卒は『使える人』になれるのか?[Part-1] 1ページ目/全2ページ

連載の間隔があいてしまって大変失礼いたしました。この連載では、医学生物学系のPh.D.研究者が国内の企業で生き抜く方法を考えています。過去2回の記事では、 なぜ国内の企業で博士卒は使えないと言われてしまうかの要因について考察しました。そこで今回と次回は、そのような厳しい環境の中でどうすれば『使える博士卒』になれるかについて考えたいと思います。

結論から述べてしまうと、使える博士卒になるための必要な行動パターンは内面(自分の心)の問題を解決する外部(周りの社員)からの刺激の対処法を学ぶの2つに分類できると思われます。

そこで今回は、「内面(自分の心)の問題を解決する」ことについて説明していきます。

異論を唱える方がいるかもしれませんが、一般的に博士号とは一人前の研究者の証です。博士号の取得は簡単なことではありませんし、海外ではPh.D.(博士)を持っていないと研究者として扱われません。しかし、それでも会社に入った博士卒の方(特に入社年度の浅い人)は『自分はスゴイ』と思わない方がいいです。この慢心にも近い自惚れこそが、使えない博士卒になる大きな要因の一つなのです。

企業に就職する博士卒と修士卒では入社時点で知識・経験に3年の差があります。そのため、学術(アカデミック)研究という土俵では、ほぼ間違いなく博士卒の方が優秀です。しかし、企業での研究内容・研究目的などはアカデミックとは異なりますので、企業研究という土俵では入社直後は両者にそれほど大きな差はありません。

そのため、修士卒でも1年ほどで博士卒と同様な働きができるようになる人がいます。逆に、『自分はスゴイ』と思ってしまう博士卒は勉強しなくなる(= 自分の専門分野に固執する)傾向にあるため、すぐに修士卒に追い抜かれてしまいます。そして、すぐさま使えない博士卒というレッテルを貼られてしまいます。

また、前回も述べましたが、『博士号を取得してる自分はエライ』と思って周りを見下した態度を取っているとグループ内で共同作業するときの大きな妨げとなってしまいます。そうなると、それだけで鼻持ちならない奴(→扱いづらい奴、つまりは使えない奴)というレッテルを貼られます。しかも、そんな状態の共同作業では結果が出ないことが多いため、そのうち名実ともに使えない博士卒となってしまいます。

もちろん、博士号を取得したことについて、前向きな自信を持って頑張るのは問題ないです。良い意味での自信を持っている人は、自分に厳しく努力を怠らない立派な人が多いです(他人にも厳しいのはNGのことがありますので注意が必要)。ただ、日本的な企業では、現在でも博士卒に対して嫉みに近い感情を持つ人がいる(第2回を参照)ので、博士卒であることをあまり前面に出すのは避けた方が無難です。

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