研究こぼれ話



2015年4月22日更新

サイエンスカフェの歴史をたどる〜カフェと科学の親和性〜

さて、突然ですが、皆様はサイエンスカフェをご存知ですか。

その名前のとおり、カフェのような雰囲気、小規模の空間にて、科学者と一般の人々が科学について語り合う場の事を指します。目的は様々ではありますが、”科学に対する敷居を下げ、一般の人々の科学に対する理解を深めてもらう”という目的が主たるものとされています。

この記事では、少し広い意味でサイエンスカフェの起源をさかのぼってみようと思います。

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サイエンスカフェの起源

さて、このサイエンスカフェ、いつ頃から存在するのでしょうか。

実はサイエンスカフェ自体の歴史は浅く、日本においては10年程度の歴史しかありません。

世界で最初のサイエンスカフェは、1997年〜1998年頃にイギリスやフランスほぼ同時期に始まったとされています。世界単位で見ても、20年も歴史はないのです。

 

意外と短いのですね。

 

その名前の通り、カフェのような雰囲気の中で科学を語り合う、といった場として始まっております。

しかし、実は”カフェと科学”という組み合わせ自体は、もっともっと昔に存在していたとされています。

 

サイエンスカフェの本当の起源?

なんと、18世紀までさかのぼる事ができます。

1700年代に流行していたコーヒー・ハウス(喫茶、カフェの起源)にて、一般の人々を対象として”科学実験講座”が行われていたと言われています。静電気の実権や空気ポンプを使った真空の実験など、実験器具を実際にコーヒー・ハウスに持ち込み、科学を体験してもらっていました。

当時、学校には科学という分野はなく、あくまでの科学は娯楽の一つとして存在しており、その”科学という娯楽を一般の市民に体感してもらう”目的でこのような実験講座が存在していたようです。

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↑ボイルの空気ポンプ。このような器具を実験講座用にアレンジし、使用していたと考えられます(画像はwikipediaより)

Leydenjar

↑静電気を溜める事が出来るライデン瓶。発明されたのは1746年。

きっと実験講座にも使われていたのでしょう(画像はwikipediaより)

 

さて、ここで気になるのはこのような実験講座はなぜ無くなってしまったのか、という疑問です。

この時代の歴史を少し見てみましょう。

 

 

科学の立ち位置の変化

17世紀から18世紀にかけて、科学分野は大きく発展します。

ボイル、ホイヘンス、ニュートンなど有名な科学者達が様々な発見、発明をします。また、ワットによる新方式の蒸気機関の発明は、科学分野に留まらず、各分野の発展の引き金となりました。

この背景には、”科学の有用性”への注目による、”学校教育への科学の導入”があります。”科学は娯楽の一つ”とされていた時代から、”科学が学校の中のもの”となり、同時にわざわざカフェで”科学実験を見せる”必要性がなくなりました。

そう、科学の発展とともにカフェと科学は距離を置く事になったのです。

 

再び科学×カフェの時代へ

ではなぜ21世紀の今、また形を変えて”カフェと科学”という場が現れたのでしょうか。

18世紀当時と大きく違うのは、科学が発展しすぎた(語弊があるかもしれませんがあえて)事により、学ぶべき内容が増え形式化されてきているという事が要因と考えられます。

また、それと同時に科学と社会が分離し、科学の発展が社会の発展の速度と方向性が異なってきた事も要因でしょう。本来科学者が感じていた”ワクワク感”のようなものを一般の人々が感じる事が難しくなってきました。そのワクワク感を体感して欲しいという科学者達の想いから形を変えて”サイエンスカフェ”が生まれました。

 

そして、偶然にもその科学を感じてもらう会場として適してるとされたのが、再び”カフェ”だったのです!

 

 

おわりに

形式、目的の若干の変化はあれども、約300年の時を超えて科学はカフェと再び融合しました。科学とカフェの親和性の高さは、昔から変わらないのですね。

 

カフェも科学も身近なものであり、ふらっと寄りたい時に寄れる存在であるべきと僕は思っています。

娯楽として、そして、ちょっと気になった時に、科学に触れてみてはいかがでしょうか。

引用元:理系コミュニティ理系+

 ■著者名:数学のお兄さん
  ■ページタイトル:サイエンスカフェの歴史をたどる〜カフェと科学の親和性〜
  ■サイト名:りけぷら
  ■引用ページの最終更新日:2014.12.30
  ■ページURL:http://www.rikei-plus.com/post/?p=3727
  ■引用した日付:2015.04.22

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