知られざる研究者の生態



第1回(更新日:2011年4月26日)

教育的配慮

マトンです。農学部を出たのに何故か製薬会社に就職してしまいました。これまで薬を作ることとは関係のない人生だったので、製薬会社での研究生活は色んな驚きで満ち溢れています。

この連載は、落ちこぼれ研究者であるマトンの不思議な会社人生をお伝えします。ですが、諸事情により、この物語はフィクションということにしておいてください。

さて、マトンの直属の上司であるチームリーダーAさんは某大手製薬会社からキャリア採用で移籍してきた方で、移籍直後はいわゆるエリート研究者として周りから期待されていました。

ところが、実際のところは×××なだけで、現在担当している研究分野はおろか、生物学研究に関してほとんど知識も経験もありませんでした。

そんなAさんですが、チームリーダーという役職のため、常日頃から実験の方向性に関して部下から相談を受けています。つい先日も、同じチームに在籍している同期のB君が、Aさんから指示された実験について質問をしていました。

B君 『この実験なんですが、○○と△△のどちらで行ったらいいですか?』

Aさん『・・・いい質問だね。君はどう思う?』

B君 『どちらでも同じだと思うのですが・・・。』

Aさん 『いいかい、私はどちらが良いかの答えを持っている。だけど、それをすぐに教えてしまうと君のためにならない。君に答えを教えるのは簡単だけど、これは君の教育のためでもあるから自分で頑張ってその答えを見つけてみなさい。』

B君『・・・』

・・・どうやら答えはなかったようで、B君は遠い目で窓の外を眺めていました。

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