知られざる研究者の生態



第133回(更新日:2015年8月21日)

これからの研究職

マトンです。前回の所長様への直談判のあとは、特に大きな出来事はありません。嵐の前の静けさというような気もしますが、あまり心配しすぎても仕方がないので日々の仕事を頑張っています。

マトンが在籍しているチームはそんな感じなのですが、他のグループではちょっとした事件(?)が起きたようです。後輩G君のチームなのですが、そこの社歴10年くらいになる中堅社員が突然退職することになりました。

マトンは、その方とはあまり接点がなかったのですが、その方は後輩G君と仲が良く(というか後輩G君をきちんと指導してくれていた)、また穏やかで仕事ぶりも堅実なので、ひそかにマトンが自分のロールモデルとして尊敬していました。

退職するということを聞いてショックだったのですが、後輩G君はとっても落ち込んでいました。そこで、この日は後輩G君と一緒に夕ご飯を食べようと思ったのですが、たまたま会社を出たところで、その方とバッタリあって3人でご飯を食べに行くことになりました。

以下は食事の様子です。

G君『どうして辞めてしまうんですか?』

退職される先輩『表向きの理由を聞きたいの?それとも本当の理由?』

G君『できれば本当の理由を・・・』

退職される先輩『ここら辺が潮時かなって思っただけだよ』

G君・マトン『潮時?』

退職される先輩『君らみたいな若い人の前で言うのは良くないのかもしれないけど、今は世の中の流れが早いからね、今のままの状態で10年も20年も同じように研究を続けて飯を食ってられる状況じゃないなって思ったんだ。会社の人にはまだ黙っててもらいたいんだけどね、俺、研究者をやめるんだ。次の職では研究しないよ。というか、次は研究活動とは無縁の会社で働くからね』

G君『え、そうなんですか?』

退職される先輩『俺もさ、博士をとって10年この会社で働いてるから、そろそろ40歳になるんだよ。この先、退職まで同じように研究で飯を食えたらベストかもしれないけど、まあ近いうちに会社の中身は変わるだろうなと感じてるんだ。で、50歳とかになって肩叩きされたら辛いし、今のうちに新しい方向に進んでおこうかなって』

マトン『社内で別部署とかという選択肢は難しかったのでしょうか』

退職される先輩『意心地の良い会社なら考えたけどね。この会社ってさ、研究職だけじゃなくどこもさ・・・。ま、君らもそれは感じてるんじゃない?ほら、君(マトン)のチームも中身ボロボロでしょ。直談判の話きいたよ。退職する人間には、却っていろんな社内情報が入ってきたりするんだよね』

マトン『・・・』

・・・これからどうなるのか。

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