知られざる研究者の生態



第134回(更新日:2015年9月4日)

衝撃の事実

マトンです。某企業で研究職をしています。所属している研究チーム(チームリーダーはAさん)内に色々と問題がありますが、基本的にぬるま湯な感じの会社なので、毎日を比較的ノホホンと過ごしています。

以前の所長様への直談判のあと、研究チームに何か大きな変化(どちらと言えば悪い方に)が起きてしまうのではないかと心配していましたが、1ヶ月以上平穏な日々が続いています。で、そんなある日、珍しくKさんに飲みに誘われました。

Kさんはマトンと同じ研究チームにいる先輩研究員です。職位的にはチームのNo.3(No.1はAさんで、No.2はIさん)なのですが、研究者としても人柄的にも素晴らしく、現場で中心的な存在となっています(というよりもKさんがいなかったら、ほぼ全てのプロジェクトが潰れそうな状況)。

ただ、最近ではチームの色々な問題(主にAさん由来)の尻拭い的なことがKさんに集中してしまっていて、Kさんの元気がなくなってきていました。

以下はKさんとの飲みの様子です。

Kさん『マトン君は所長と仲がいいんだよね?』

マトン『それ、みんなが面白半分に言ってるだけです。僕は単に若手社員と所長の間の伝書鳩みたいなものです。』

Kさん『普通はそんなことは出来ないよ。きっと所長はマトン君に期待してるんだよ。』

マトン『そんなことはないと思うんですけど・・・』

Kさん『ところで、こないだの直談判なんだけどさ、その後に所長とは話をした?』

マトン『え、何の話ですか?』

Kさん『そうか、まだ聞いていないのか。実はね、俺は何回か所長と話し合いをしたんだよ、この研究チームについてね。』

マトン『そうだったんですか。話し合いの内容とかって聞いてもいいですか?』

Kさん『もちろんだよ。それを伝えるために飲みに誘ったんだからね。結論から言うとね、近いうちに俺らのグループは大きく変わる。所長が言ってたんだけどね、本当は直属の上司をすっ飛ばした直談判は聞いてはいけないことになってるんだって。下からの直談判を聞いてたら、会社組織がガタガタになるという理由からね。でも、今回みたいに10人以上の部下が全て集まっての直談判は過去に例がなくて、Aさんの悪評もそれなりに広がっていたから、なんらかの対処をしないといけないと所長は感じたらしいんだ。』

マトン『どんな風にグループが変わるんですか?』

Kさん『まず最初にH(♂)がグループを移るよ。』

マトン『Hさん(♂)が?どうしてですか?』

Kさん『所長との話し合いの初期にね、このグループから人を減らすとしたら誰を外したい?って聞かれたんだ。で、俺はH(♂)を指名した。彼は出身大学と出身研究室は立派だけど、研究者としてはダメだ。やる気もないしね。彼みたいなのがグループにいると周りに悪影響を与えてしまうよ。』

マトン『Hさん(♂)を指名したことについて所長は何か言ってましたか?』

Kさん『あの所長、普段は適当な振りをしてるけど意外と油断ならないよ。H(♂)の性格とかもきちんと把握してた。だから、すんなりとH(♂)放出に理解を示したよ。ま、H(♂)は基本能力は低くないはずだから、きちんとした上司の下にいけば、それなりに使える奴になるかもしれない。所長は多分そこまで考えたんじゃないかな。だから、この移籍はH(♂)にとってもいいはずだよ。』

マトン『他にもグループに何か変化があるんですか?』

Kさん『Iさんが3名ほど引き連れて新しい研究グループを作ることになるよ。人選はまだ確定していないけど、マトン君はそっちには行かないはず。』

マトン『え、そうなんですか?でも、僕がIさんのグループに行かないとなると、僕の上司はAさんのままってことなんですね。』

Kさん『残念だけど、そうなるね。』

マトン『Aさんが飛ばされて、代わりにKさんがリーダーになるとかってことはないんですか?』

Kさん『それはないね。』

マトン『でも、所長とそんな深い話をしてるのですから、もしかしたらAさんの代わりにKさんが、ということもあるんじゃないですか?』

Kさん『ないよ。だって俺、退職することに決めたからね。』

・・・なんですと?

ページトップへ戻る

Copyright(C) BioMedサーカス.com, All Rights Reserved.