医学生物学系のPh.D.研究者として企業で生き抜く方法



第1回(更新日:2011年6月28日)

終身雇用というシステム 1ページ目/全2ページ

Ph.D.とはphilosophy doctorの略です。現在、そのような「哲学」を持っているPh.D.研究者が厳しい環境に置かれています。

筆者は企業研究者として、様々なタイプのPh.D.研究者を見てきました。その中には、周りの期待以上の働きをして研究チームを引っ張っていくような研究者もいました。逆に、博士号とは名ばかりで、研究者と称するのもおこがましいような会社員もいました。

本連載では、私の経験をもとに、医学生物学系のPh.D.研究者が国内の企業で生き抜く方法を考察していきたいと思います。

第一回目の今回は、終身雇用制がPh.D.研究者に引き起こすデメリットについて見ていきます。

程度の差はあると思いますが、終身雇用制には3つの大きな特徴があります。1つ目は「新卒での一括採用」、2つ目は「社員が定年まで勤める」、3つ目は「待遇が年齢とともに良くなる」、です。昨今では終身雇用制は崩れつつあるとされてはいますが、国内企業の研究職は他の職種よりも終身雇用制は守られています。

さて、国内の企業での研究職では、ほとんどの企業において、社員の最終学歴は修士号か博士号となっています。そこで、修士課程を修了した社員と博士課程を修了した社員の、会社内での待遇などについてまとめてみます。

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・同じ年に入社した場合、初任給では「博士卒>修士卒」となっています。ただし、多くの企業では「博士卒の初任給=修士卒の3年目の給料」となることが多く、実質的には博士卒と修士卒で給与の水準に大きな違いはありません。

・福利厚生に関しても、修士卒と博士卒で大きな違いはありません。

・欧米の企業などでは、修士号取得者はテクニシャンとして、博士号取得者は研究職として働きます。そのため、修士卒と博士卒では業務内容は異なり(職種そのものが違うため)、修士号取得者は博士号取得者の指示のもとで手を動かすことになります。しかし、国内の企業では、修士卒と博士卒の業務内容はほぼ同じです。ただし、周りから求められる仕事の完成度は、博士卒社員の方が修士卒社員より圧倒的に高くなっています。

・出世に関しても修士卒と博士卒で大きな違いはありません。修士卒であれ、博士卒であれ、同じ研究職というルートを通るからです。むしろ、終身雇用制が守られている場合は、会社に何年在籍したかが出世に影響することが多いため、同じ年齢の社員の場合は修士卒で入社した方が出世しやすいことが多いです。

・留学のチャンスを得るためには、博士卒の方が有利なことが多いように見えます。これは、留学に博士号取得が必要だからです。しかし、修士卒の社員でも会社に在籍しながら博士号を取得することは可能です。むしろ、そのようなチャンスをもらえる修士卒は会社(上司)から気にいられているため、「博士号取得→留学」の黄金ルートを難なく辿ることができます。留学は研究職の全社員が出来るわけではないので、自ずと限られた枠を争うことになります。そして、その場合は「会社(上司)に気に入られている社員(修士卒で博士号を取得できた人)に分がある」と言わざるを得ません。

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