博士女子のための就職活動Tips



第3回(更新日:2012年7月17日)

教授推薦について

「第1回:はじめに」から読む

教授推薦はもらった方がいいと思います。特にドクターともなると、文系の学部卒のような大量採用でもないので、枠が少ないと企業側も「確かな人」が欲しい。だから、大手などは特に教授推薦枠がほとんどであったりします。

その場合、その推薦内容や教授のコネの強さが問題だというよりはむしろ推薦状を添えて社内の誰かを介して人事に書類を提出することが前提みたいになってきます。

教授が、自分の志望する会社に強力なコネを持っている場合はもちろん推薦をもらって受ければいいと思いますが、特別に強いコネがなくても教授推薦枠で受けることはできます。教授の知り合いとか、同じ研究室から数年前にその会社に就職した先輩など、少しでもつながりがあれば、その人に自分で問い合わせるか教授に頼んで連絡を取ってもらい、教授推薦枠がないかどうか聞いてみるとよいです。

もしそういう枠があれば、書類を、その人を通して人事に渡してもらえるのではないでしょうか。そうなれば、書類選考を通過する可能性はかなり上がるのではないかと思います。

ただし、教授推薦をもらう時に考えるべきことは、 次の2点のバランスであると私は思います。

・その会社宛に推薦をもらって受けるとして、別の会社を受けるのを制限されないかどうか
 ・推薦をもらうことで内定をもらえる可能性がどのくらい上がるのか

要するに、この会社に推薦する以上は他を物色してもらっちゃ困る、と教授が思うかどうか。

教授としても、強いコネを持っている会社に対して裏切り行為はしたくない。来年以降も学生の就職を見てやらないといけないのにコネのある会社との関係が壊れてしまっては困るわけです。

逆に、特に強いコネがあるわけでもない会社に推薦したとしたら、当然、内定をもらえる率がそんなに劇的に上がるわけでもなく、これで絶対に内定もらえるなんて思わないで他の会社もどんどん受けなさい、となるわけです。

だから、大して有利になるわけでもないのに他を受けることを制限される場合や、その会社に自分がそれほど魅力を感じていない場合は、下手に推薦をもらうと、他への道が閉ざされてしまうかも知れないので注意です。

推薦をもらうことによる制限については、事前に教授によく確認した方がよいと思います。

私自身は、就職活動を始めようというときになるまで、「うちの教授はコネがない」と思って教授推薦なんて考えていませんでした。でも、本命の会社がホームページでなかなか募集を出さないので、とりあえず名簿で教授の同級生にその会社に勤めている人がいることを知り、教授に「採用の動向など尋ねてもらえないか」と頼みました。

教授がその人に電話をしたところ、「教授推薦枠があるらしい」という話になって、そのままあれよあれよという間に推薦、でした。(教授にとっても思いがけない展開だった様子)

あのまま教授に話をしにいかなければ教授推薦枠では受けていなかったかも知れない。もしそれだと、採用は難しかったかも知れないなあと思います(うちの会社の現状を見れば)。研究室の教授にコネはないと思っていても、探してみればあるかも知れません。

私は、実際に内定をもらった会社を含めて、3社に推薦してもらいました。いずれも、書類選考がゆるくなる、という程度のもので、他もたくさん受けるようにという指導でした。個人的にはこれぐらいがちょうどよかったと思っています。

教授推薦で入社するとやめたくてもやめられない、とか、コネではなく自分自身を評価して採用されたいとかいう意見もあります。私もそれはもっともだと思います。ただし、この就職難のご時世に博士のしかも女子がそれなりの会社に入ろうと思えばかなり厳しいのが現状だと思います。そのあたりの「危機感」と「自尊心」を天秤にかけてどうするのか決めるとよいと思います。

また、会社の風土にもよりますが、推薦で入っておいたら、その後、会社側がその教授とのつながりを重視し始めたときに、仲介役として多少の影響力か存在感を持てるかも知れません。

学生のころなら、そんなの姑息だと思っただろうけれど、会社に入ってから、思いがけないところに何かのきっかけが落ちているということや、いつ誰にお世話になるかわからないこと、出身大学や出身研究室が同じだという理由で上の人たちと接触するときにも思った以上に垣根が低くなったり するんだというようなことを感じています。(これは本当に企業風土次第ですが)


*本連載は、2008年と2009年に都内で配布された「理系女子のための就職活動応援パンフレット」の一部を改変したものです。

ページトップへ戻る

Copyright(C) BioMedサーカス.com, All Rights Reserved.