米国グリーンカード取得の体験談



第2回(更新日:2013年8月15日)

グリーンカードの申請カテゴリーは複数ある


***グリーンカードの申請カテゴリー***
今回はグリーンカードの申請カテゴリーに関してご紹介します。グリーンカードの申請方法はいろいろありますが、アメリカ人との結婚とか多額の投資とかをしない限りは、普通は自分の職能をアピールして申請することになります。これがEB(Employment based) という申請カテゴリーで、職能レベルに応じてEB1、EB2、EB3という3つのサブカテゴリーに別れています。

一般的に、審査期間はEB1が最も短く、EB3が最も長いです。PhDを持っているバイオ系ポスドクや研究者の場合は、EB1またはEB2で申請するのが普通のようです。ちなみに、EB3だと実際にグリーンカードが取れるまでに数年かかってしまいます。

EB1およびEB2は、雇用主によるスポンサーを受けるかどうかによりさらに2つずつのミニカテゴリーに分けられます。雇用主によるスポンサーというのは、雇用主が「うちがこの人材を雇い続けたいのでぜひグリーンカードをあげてください」と移民局に言ってくれるかどうか、ということであり、申請費用を雇用主が負担してくれるかどうかは関係ありません。むしろポスドクの場合は、雇用主にスポンサーしてもらっても費用は自腹であることが多いようです。

とはいえ、仮に雇用主が申請費用を負担しないとしても、グリーンカード申請をスポンサーするのは雇用主にとってもかなりの事務作業量になります。そのため、このことを雇用主に頼もうと思えば、当然雇用主と良い関係をキープしておかなければならないし、グリーンカードの申請自体が雇用主の意向次第ということになってしまいます。

一方で、本人に十分な業績があれば、雇用主のスポンサーなしでも申請はできます。自分はいかに優秀かとか、いかにアメリカの国益に叶う人材であるかということを自分でアピールするということです。これであれば、雇用主とは全く関係なく申請ができます。

まとめると、PhD持ちの研究者がグリーンカードを申請する場合の申請カテゴリーは4種類となります。

1) EB1雇用主スポンサー outstanding researcher
 2) EB1セルフスポンサー extraordinary ability
 3) EB2雇用主スポンサー 通常のEB2
 4) EB2セルフスポンサー NIW(national interest waiver)

2)のEB1セルフスポンサーは、プロスポーツ選手などがグリーンカード申請するときのカテゴリーなので、研究者としても超一流でなくては難しいと聞いていましたが、実際にはそれほどスーパーすごくなくてもいけることもあるらしいです(Cell, Nature, Scienceがなくても可能との話も聞きます)。また、1)や3)の雇用主スポンサーの場合は、グリーンカードが取れた後も、その雇用主の元で一定期間働かないといけないケースもあるようです。

ちなみに、日本国籍の場合はEB1でもEB2でも審査期間はあまり変わらないです。これに対して、中国やインド、フィリピンなどの国籍の人は、EB1なら1年以内となりますが、EB2だと数年かかるらしく、何とかしてEB1で申請しようとする人が多いです。

EB1のセルフスポンサーは多くの研究者にとって難易度が高いため、上記の国からアメリカに来ているポスドク達は、何とかして1)のEB1雇用主スポンサーで申請しようとしています。余談ですが、そのような人たちの雇用主に必死に働きかける様子は見ていて可哀想になる、と言っている知人が何人もいました。

このような国籍による違いは、上記の国々からグリーンカードを申請する人の数が極端に多く、移民の出身国に偏りが生じるのを抑制するためだとされています。ただし、この措置は近々廃止され、雇用ベースの申請の場合は国籍にかかわらず同等の優先度で扱われるようになるらしいです。

つまり、これまでは日本国籍の人はグリーンカードの申請において優遇されていたのですが、この優遇がなくなるかも知れないということなので、いずれ申請しようと思っている人(特にEB2での申請を考えている人)は早めに申請した方がいいかもしれません。

私自身は4)のEB2セルフスポンサー、つまりNIW (national interest waiver)、で申請したので、雇用主との折衝のストレスはなくて済みました。ですが、代わりに自力でやらないといけない作業量は多かったです。特に弁護士とのやり取りは色々と大変でした。次回は弁護士への依頼に関するあれこれをご紹介しようと思います。

執筆者:グリーンカードを保持している日本人研究者@アメリカ

(注:本連載はあくまでも一般個人の体験談です。当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、BioMedサーカス.com及び著者は一切の責任を負いかねます。)

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