教授と僕の研究人生相談所



第38回(更新日:2015年2月16日)

ネットで名前を売っても研究は進まない 1ページ目/全2ページ

教授「さて、色々と雑務もあるし、今回はさっさと終わらせようか」

僕「はい。いつもお忙しいところすみません。で、今回ですが、そろそろこの相談を取り上げていただければと思っているのですが」

教授「この4月から渡米してアメリカでポスドクをするけど、何かアドバイスはありませんか?って相談か。以前にも似たような相談に答えた気がするから、そっちを読めばいいんじゃないか?」

僕「えっと、それは第7回第8回のことでしょうか?」

教授「何回目かなんて俺が覚えているわけないだろう」

僕「う、すみません。えっと、これとこれです(iPadの画面を見せる)」

教授「そうそう、それだ。では今回の相談者は昔の記事を読みなさい、ということで終わり。ま、そのときに俺は何て答えたかは覚えていないんだけどな。じゃ、俺は仕事に戻るよ」

僕「いえいえいえ。せめて注文したホットケーキがくるまでは、ここにいてください(注:この日は教授の都合でお昼過ぎに喫茶店で教授のお話を聞いていました)」

教授「ふん、まあいいだろう」

僕「すみません、ありがとうございます。では僭越ながら、第7回第8回での教授の回答をまとめさせていただきますと、(1)日本とのコネクションは切れないようにする、(2)海外で日本人コミュニティーを作ったりしない、という2点だったと思うのですが、それでよろしかったでしょうか」

教授「えーっと、そんなことも言ったかな。ま、その2点は、海外に研究に行って失敗する日本人の典型的な行動だからな」

僕「でも、前回の相談は海外の大学院に進学ということでしたが、今回はポスドクとして留学される方のようです。それでも同じでしょうか?」

教授「基本的には一緒だよ。ポスドク留学したとしても、日本とのコネは切れないように注意しないといけないし、日本人研究者コミュニティーなんてのにはどっぷり浸かってはいけない。まして自ら作ろうとしては絶対にダメだ。ま、そこら辺の詳しい理由は過去記事を読めばいいだろう」

僕「はい」

教授「ポスドクで留学することの方が大学院留学よりも年齢がいってる分、失敗したときのダメージが大きい。だが、年齢がいってるとは言っても30歳前後なら全然挽回可能だ。失敗することを必要以上に恐れずに頑張ればいいだけだ」

僕「なるほど、でも他にアドバイスはありませんか?この相談者も、その回は読んでると思います。相談文にも、毎回教授の回答を楽しみにしているとありますし」

教授「他のアドバイスか。ま、こんな連載を読む暇があったら、留学先で出会った人間との時間をエンジョイするんだな」

僕「そんな・・・」

教授「こんな連載を読む暇があったら、というのは冗談にしても、ネットにどっぷり浸かってはいけない。せっかくアメリカで研究生活をするという機会を得られるんだ。その場にいなくては出来ないことに集中すべきだろう」

僕「実験とかですか?」

教授「もちろん実験もそうだ、研究留学をするんだからな。だが、それ以上に日々の生活を、ネットと切り離した上で満喫すべきだな。もちろん、ネットは便利で、なくてはならないツールであることは事実だ。それに、俺はネットの全てを否定するわけでもない。だが、ネットは危険すぎるんだよ。異論もあるだろうが、俺たちの分野の研究者は、ネットとは少し距離を置くというスタンスでいる方が上手くいくことが多い」

僕「と言いますと?」

教授「ネットはな、増幅装置なんだよ。賢い奴が使えば、その賢さに応じて非常に強力なツールとなる。だが、アホな奴が使えば、そのアホさが何倍にもなって自分の首をしめる。俺を含め大半の人間はアホなんだよ。だから、ネットなんてのは、必要最低限に使うということに留めておいて、リアルの生活に自分の時間と労力を費やすべきなんだ。アホがネットを使っても、良くて自分の時間を無駄にするだけだ」

僕「良くて、ということは、悪くすると?」

教授「リアルの生活に悪影響を及ぼしたり、精神を病んだりする」

僕「そんな・・・」

教授「ま、今回の相談者は賢いのかもしれないから、俺みたいなアホの言うことはスルーしてもいいかもしれない。だがな、間違っても、ブログやらツイッターやらで、自分の存在を知ってもらうなんてことは試みない方がいい」

僕「え?」

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