教授と僕の研究人生相談所



第46回(更新日:2015年6月8日)

他人の文章を添削するのは面倒くさい 1ページ目/全2ページ

教授「よし、今日は解散」

僕「・・・まだ何も始まってません」

教授「ふん、冗談のわからん奴だ。まあいい、どうせ今日は前回の最後に言ってた文章力に関する相談を取り上げたいんだろ」

僕「はい、そうです。お願いします。お恥ずかしい話ですが、僕も文章力をどうやって上達させればいいのかで悩んでるんです」

教授「ま、君には無理だろうね」

僕「・・・え?」

教授「前回の最後にも言ったが、文章力というのはある程度のセンスがないとダメなんだ」

僕「そんな・・・」

教授「そんなに悲観的な顔をするな。センスがないとダメだとは言え、人並みの文章力をゲットするだけなら、基本的なところを押さえて努力すれば可能かもしれん」

僕「え、本当ですか!」

教授「ま、君には無理かもしれんがね」

僕「話が堂々巡りで先に進みません・・・」

教授「ふん、面白みのない奴め」

僕「すみません・・・」

教授「まあいい。とりあえず、相談内容に移るか。いいか、文章力には最低限の国語力が必要なんだ」

僕「国語力?」

教授「きちんと文法を理解しているか、ある程度のレベルの単語や言い回しを知ってるか、だな」

僕「ですが教授、今回の相談者は日本語の文章力について相談しているんですよね。大学院の博士課程に進むくらいの人であれば、日本語の文法や単語・言い回しといったことは充分にクリアされていると思うのですが」

教授「本当にそう思ってるのか?今回の相談者がどうかはわからんが、今の世の中、博士号を持っている奴の中にも、きちんと日本語の文章、特に科学論文のようなものだな、が書ける奴は多数派ではないぞ」

僕「え、ホントですか?」

教授「試しに大学の図書館に行って日本語の学術雑誌を見てみろ。おかしな日本語を使ってる学術論文なんてすぐに見つかる。もちろん著者は全員日本人だぞ」

僕「・・・全然気がつきませんでした」

教授「気がつかなかったのは、君が日本語が出来ないか、そういう学術雑誌をきちんと読んでいないかのどちらかだと思うが、どっちだ?」

僕「え、えっと・・・」

教授「君、ひょっとすると、あんまり論文を読んでないんじゃないか?」

僕「す、すみません」

教授「こんな連載をする時間があったら、きちんと研究に打ち込みなさい」

僕「・・・はい」

教授「まあいい。君が路頭に迷っても俺は困らないしな」

僕「・・・」

教授「いずれにしろ日本人研究者はきちんとした科学文章を書く術を学んできていない。レベルの低い研究者が量産されてしまった今がその結果だ。残念ながら日本の大学や大学院での教育レベルはお粗末極まりないんだよ。ま、だからこそ俺みたいなのが教員としてノホホンと暮らせているんだけどな」

僕「科学文章の書き方を学ぶにはどうすればいいのでしょうか」

教授「ふむ。それは簡単ではないんだな。ま、とりあえず、この本を最初から最後まで5回読むことは必須だろう(鞄から本を取り出す)」

僕「『理科系の作文技術』ですか?古そうな本ですね。ちょっと見せていただけないでしょうか(本をパラパラめくる)。え、初版が1981年なんですか!?」

教授「古い本ではあるが、今でも読む価値は充分にある。今でも手に入るかはわからんが、ブックオフにでも行けば100円で売ってるんじゃないか。だが、古い本とは言え、科学系の日本語の書き方の初歩の初歩が書いてある。その約束事を半分でも正確に理解して実践できれば、文章力は格段に上がるはずだ」

僕「貸りていってもいいですか?」

教授「レンタル料は1泊2日で500円だ。延滞料金は1日ごとに100円だぞ」

僕「・・・」

教授「冗談だよ。半額にしてやるから、そんな表情するな」

僕「・・・」

教授「・・・」

僕「・・・」

教授「話が先に進まんな。この本は君にあげるから、早く終わりにしよう」

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