教授と僕の研究人生相談所



第55回(更新日:2015年10月26日)

ノーベル賞に届かない人たちへ 1ページ目/全2ページ

僕「早速ですが教授、今年も日本人がノーベル賞をとったので何か一言お願いします」

教授「この連載は読者の相談に答える場だ」

僕「そんなこと言わないでください。実は読者からもノーベル賞に関する相談がいくつか来てるんです。これ見てください(メールを印刷したものを渡す)」

教授「そんなものは見たくない。俺は今メニューを見てるんだ(*この日は飲み屋で教授のお話しを伺ってました)」

僕「そんな・・・」

教授「毎年この時期はノーベル賞のニュースが話題になるが、俺はそういう報道をみていつも同じことを思うね」

僕「え、どんなことですか?」

教授「その賞金の1000分の1でいいから俺にくれないかな、とね」

僕「小学生みたいな感想ですね・・・」

教授「何を言ってるんだ。いいか、ノーベル賞の賞金はおよそ1億円だ。1000分の1だとしても10万円だぞ。それだけの金があれば、こんなチンケな飲み屋だったら料理の値段を気にせずに何でもオーダーできる」

僕「あんまり大きな声で言ったら店員に聞かれてしまいます」

教授「ん、確かにそうだな。店員に目をつけられたら、俺らのところにはいつも以上に薄めた酒を持ってきそうだ。口は災いの元だな」

僕「・・・なるべく小さな声でお願いします」

教授「ふん、気の小さい奴だ。まあいい、これで俺は読者の相談に答えた。君はもう帰って原稿を書きなさい。俺は引き続きここで酒を飲む」

僕「もうちょっとノーベル賞関連についてお言葉をお願いします」

教授「俺は何回人生を繰り返したとしてもノーベル賞なんて賞は取れない。そんな素晴らしい賞については、場末の飲み屋でグダグダ言ってる俺みたいな研究者くずれがコメントをすべきではない」

僕「教授は素晴らしい研究者ですよ。僕はいつも尊敬しています」

教授「君に素晴らしいと言われても何の賞にも繋がらないし、尊敬されても嬉しくない」

僕「いやまあそうなんですが・・・。でも、ノーベル賞に関してマスコミおよび日本人が毎年こんな風に騒ぐのはどうかと思う、なんて発言も一部で聞かれますがどうでしょうか。こちらの相談メールにもそう書かれていますし」

教授「マスコミは騒ぐのが仕事だからどうでもいいんじゃないか。それに、そういったマスコミの過熱報道や、ノーベル賞自体に関して言いたいことがある奴がいても、それは個人の自由だからほっとけばいい」

僕「まあそうなんですが・・・」

教授「君や俺みたいな一般人は素直に『ノーベル賞すごい。そんな賞とる日本人研究者すごい。日本はやっぱり科学立国なんだ!』って思っておけばいいんだよ」

僕「なんかすごい皮肉っぽいんですが」

教授「それは君の心が汚れているからだ。もっと素直になりなさい。人前でノーベル賞やノーベル賞を受賞した研究者なんかについて批判的なことを言ってもいいことはない。そんなこと言っても、『文句があればノーベル賞とってから言え』とか『酸っぱいブドウ(笑)』とか言われるだけだ」

僕「確かに。ところで、教授はノーベル賞ほしいですか?」

教授「賞金は欲しいよ。でも賞自体はいらんね」

僕「なぜですか?」

教授「金が好きだからだ」

僕「それは知ってます。なぜ賞自体はいらないのか教えてくれませんか?」

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