教授と僕の研究人生相談所



第56回(更新日:2015年11月23日)

学生に怒っても仕方がない 1ページ目/全2ページ

教授「もう11月か。今年いっぱいでこの連載も終わるから、君と会うのもあと数回だな」

僕「そんな話は出ていません。しれっと嘘を言わないでください」

教授「ふん。今日はどんな相談に答えればいいんだ?」

僕「この相談とかいかがでしょうか。某私大で教授職をしている方からなのですが、叱り方に関してアドバイスをしてほしいとのことです」

教授「叱り方?」

僕「はい。どうも学生さんが不甲斐なく感じることがよくあって、いけないとは思いながらも、つい感情的に叱るというか怒ってしまうことがあるようなんです」

教授「ふーん」

僕「そういえば、教授はあんまり学生に対して感情的になったりしないですよね」

教授「まあな」

僕「教職に就く人間には紳士的な言動が必要だからと自分に言い聞かせているからですか?」

教授「全然違うよ」

僕「え?」

教授「俺は学生に何の期待もしてないからな。どうせあいつらは半人前だ。実験や研究はおろか、挨拶すらもまともにできんよ。そんな奴らにいちいち怒っていては俺の精神が持たん」

僕「ぐ・・・。すみません」

教授「学生なんてのは適当に指導しておけばいいんだ。適度に業績を出させて、どっか就職先を見つけさせてやればそれでいい。それで俺の仕事は終わりだ。どうせ卒業したら大部分の学生とは付き合いが切れる。そんな奴らに対して色々と真剣に悩む必要はない」

僕「またそんな問題発言を・・・」

教授「長年この職をしていたら、それぞれの学生の資質なんてのは、2~3ヶ月も一緒に仕事をしていたらよくわかる。だから、どのくらいの作業や実験を任せられるか、どうすれば失敗するか、どんな状態になったら精神を病み始めるか、なんてのはちょっと注意深く観察すれば判断できる」

僕「なるほど。学生に失敗をさせないようにしておけば教授のストレスも溜まらず、感情的になることもなくなる、ということですか」

教授「君は相変わらず浅はかだな」

僕「え?」

教授「学生は未熟なんだぞ。そんなダメな奴らが失敗をしないレベルでしか実験しなかったら研究なんて全く進まん。失敗させないと学生は上達しないし、失敗しないことで増長するやつも出てくる。だから俺の評価に傷がつかない程度に学生には失敗させて、奴らに自分が未熟であることを認識させて俺の言うことをきくように仕向けるんだ」

僕「・・・ひどいですね」

教授「ふん、なんとでも言え。俺にとって大事なのは俺の立場を守ることだ」

僕「・・・」

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