教授と僕の研究人生相談所



第59回(更新日:2016年1月18日)

この業界は捏造まみれでランキング至上主義だ 1ページ目/全2ページ

僕「教授、岡山大学の件、知っていますか?」

教授「岡山大学?」

僕「捏造を告発した教授2人が解雇されたというニュースです。公式には、解雇理由は捏造を告発したからということではないようですが、実質はそれが理由だと言われています」

教授「あー、あのニュースか。あれに関しては俺はノーコメントだ。コメントしたら色々とまずいんでな。だが、少なくともこれだけは言える。普段からも言ってるが、捏造なんて実名で告発しても良いことなんてない。捏造なんての見て見ぬふりをするか、自分が特定されないようにしてから告発しないとダメだ」

僕「そんなことを言ったら、また叩かれてしまいます」

教授「正義の味方を演じてる偽善者たちにか?」

僕「・・・煽るのはやめてください」

教授「何度でも言うが、世の中は捏造に満ち溢れている。俺らの業界だって決して例外ではない。研究者の使命は世の中を良くするためだ、という建前は理解できなくはないが、個々人の研究者にとっては、毎日の生活の糧をきちんと確保することこそが至上命題だ」

僕「毎日の生活の糧?」

教授「給料だよ」

僕「またそんな夢のない話を・・・」

教授「無職になってみないと毎月きちんと定額が懐に入ってくるということの大事さに君は気づけないのか?まあいい、金(かね)の大切さをわからない奴は勝手に苦労すればいい。で、今日の相談は?」

僕「えっと・・・、この相談でよろしいでしょうか(相談メールを印刷した用紙を渡す)。どんなタイプの研究者を目指すかという相談です」

教授「捏造を実名で告発しようとする正義感を持たないタイプの研究者だな。それか、捏造をしてもそれを隠し通せるくらいの知能を持ったタイプの研究者かな」

僕「一部の読者をいたずらに刺激しないでください。あと、相談メールをきちんと読んでから答えていただけないでしょうか」

教授「老眼にはこういった小さな字で印刷されたものは読む気がしない」

僕「その割には日本酒のラベルとかは、じっくりと読んでますよね」

教授「何か言ったか?」

僕「いえ何も。次回からはもう少し大きな字で印刷します。今回は我慢していただけないでしょうか」

教授「ふん(印刷した相談メールに目を通す)」

僕「相談者の方は博士課程の3年生で、この4月から国内でポスドクをするようです。でも、将来はアメリカに留学することを考えていて、アメリカもしくは日本で自分の研究室を持ちたいようなんです」

教授「時代遅れな夢だな。まあ頑張りたまえ」

僕「相談者に毒を吐かないでください。で、今回の相談内容なのですが、相談者は自身の研究分野では、Cell/Nature/Scienceと言ったいわゆるトップジャーナルには論文が出せないように感じているようなんです。代わりに、Impact Factorが5点くらいの論文は、比較的多めに出せそうだと思っているんです」

教授「Impact Factorが5くらいの論文を継続的に出せるなら大したもんだよ」

僕「僕もそう思います。で、相談内容なのですが、今後ポスドクをするにあたり、Cell/Nature/Scienceなんかに出せるような大きなプロジェクトをじっくりとやるのがいいのか、それともImpact Factorが5くらいの中堅どころを量産するような研究者を目指せばいいのかで悩んでいるようなんです」

教授「Impact Factorが5くらいの雑誌に論文を簡単に載せられると豪語するのであれば、Cell/Nature/Scienceに届くようなプロジェクトに力を入れつつも、そういう小型〜中型の論文もちょくちょく出せばいいだけじゃないか。ま、無理だと思うがね」

僕「相談者に喧嘩を売らないでください」

教授「ふん」

僕「でも教授、この相談者は自分の分野ではCell/Nature/Scienceには論文が載らないと言ってるんですが、どうなんでしょう?」

教授「どんな分野であれ、そういったジャーナルの姉妹紙は狙えるだろ。それすら出来ないようじゃ、Impact Factorが5くらいのジャーナルに簡単に出せるなんてのは嘘っぽいな」

僕「そんなに喧嘩腰にならないでください」

教授「別に喧嘩腰になってるわけではないがね、こういう相談には飽き飽きしているんだよ」

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