教授と僕の研究人生相談所



第68回(更新日:2017年1月15日)

自分の人生は自分で切り開こう 1ページ目/全2ページ

僕「明けましておめでとうございます」

教授「君の顔を見ると年明けのめでたい気分がなくなるな」

僕「新年早々辛辣なことを言わないでください」

教授「むしろ新年早々くだらん会話はやめてくれと言いたいが」

僕「まだ何も話してません」

教授「どうせ君の連載のことを話すんだろ。くだらん会話じゃないか」

僕「では普通に雑談とかしてもいいんですか?」

教授「君との雑談なんて、それこそこの世で最もくだらない時間の使い方だ」

僕「では、いつもの教授の辛辣な挨拶をすませたので、早速読者からの相談に移りますね」

教授「君もかなり図太くなってきたな・・・」

僕「そうでもしないと教授との連載なんて出来ませんからね。で、相談なのですが、これとかどうですか。アメリカで長年ポスドクをしている方からです(相談メールを印刷したものを手渡す)」

教授「読者からの相談メールより、俺は新年の貢物が欲しいんだけどな」

僕「(教授の戯言はスルーしながら)この相談ですが、自身が取り組んでいる研究プロジェクトの実験アイデアを出すのがしんどくなってきたというものなんです」

教授「俺ももう学生のために研究プロジェクトを考えるのがめんどくさいよ」

僕「(教授の愚痴はスルーしながら)というのもですね、この相談者の方は、研究プロジェクトを進めたいという気持ちはあるものの、自分が次にすべき実験アイデアを出したくなくなってきているようなんです」

教授「へー」

僕「すごく興味なさそうですね」

教授「よくわかったな。まあいい、とりあえずその理由を聞こうか」

僕「ありがとうございます。えっと、この方は、研究を始めた当初は実験が楽しくてあれこれ色々考えたり試したりといった研究生活に満足していたんですが、ポスドク生活を10数年もしてしまったからか、『アイデアを出す→自分の実験が増える→大変』というループを何度も繰り返して気持ちが疲弊しまったようなんです。で、今となっては、自分が大変にならないように、知らず知らずのうちにアイデアを出さないような思考回路になってしまったようなんです」

教授「気持ちは非常によくわかる」

僕「え、そうなんですか?」

教授「俺だってもう仕事したくないもん。学生に研究プロジェクトを渡すだろ、仕方なく。そうするとな、絶対に問題を起こすんだよ。で、その問題の尻拭いをするのは俺なんだよな。まあ、仕事だから仕方ないんだけどな。こんな仕事、早くやめたいよ。ところで、君が俺のために買った年末宝くじは当たったか?」

僕「そんなもの買ってません」

教授「ふん、使えん奴だ」

僕「(教授の戯言はスルーしながら)ところで、なぜ学生さんは問題を起こすんですか?」

教授「そんなの当たり前だろ。研究なんてのは経験を積んだプロの研究者ですら順調に行くことは稀だ。常に問題にぶち当たり、それを解決し、そしたらまた別の問題が生じて、また苦労して解決して・・・という繰り返しだ」

僕「はぁ」

教授「中には、常に実験がうまくいって次々に新しいデータを出して新規性の高い論文を大量生産できる奴もいる」

僕「僕もそうなりたいです」

教授「本当にそうなりたいのか?そういう一見スーパー研究者に見えるような奴は、そのほとんどが『何か』をしているんだぞ」

僕「え、『何か』とは?」

教授「教えてあげない」

僕「えー」

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