教授と僕の研究人生相談所



第75回(更新日:2017年12月18日)

バイオの研究業界を抜け出すことも考えよう 1ページ目/全2ページ

教授「言い訳はしない。相談メールを放置していて悪かった。今日はきちんと読者からの相談に答える」

僕「え、どうしたんですか、教授?何か悪いものでも食べました?それか頭を打ったとか?」

教授「夢を見た」

僕「どんな?」

教授「俺が相談メールを放置しまくっていることに怒った相談者たちが、俺の素性を暴いてネットに晒す夢だ」

僕「・・・」

教授「近年稀に見る恐ろしい夢だった。これからは心を入れ替えて相談に答える。だから、俺の素性を明かそうとはしないでくれ」

僕「何ともコメントしづらいので、早速ですが相談に移ってもよろしいでしょうか?」

教授「もちろんだ」

僕「では、これとかどうでしょうか。アメリカに留学されているポスドクからのメールです。2016年12月に届いています。その後、2017年4月にも催促のメールが届いています。もちろん、催促メールとは言え、メールの文面は非常に丁寧で教授のお忙しさを気遣ってくれています。ちなみに、教授の大ファンだそうです。今はどうか知りませんが」

教授「・・・悪かった」

僕「大ファンの人って時々すごいアンチになったりしますよね(ニヤニヤしながら)」

教授「・・・相談を放置していてすまなかった」

僕「で、相談内容なのですが、ご多分に漏れず、この方も将来に不安を抱いているようなんです。研究もそれほど順調に進んでいるわけではないようです。ただ、それ以上にこの方を悩ませているのが、『他人との比較』と『他人からの評価』なようなんです」

教授「『他人との比較』と『他人からの評価』?どういう意味なんだ、それは?」

僕「えっとですね、この相談者は、このご時世にポスドクなんかをしてしまったので、将来が大変かもということには覚悟ができているようなんです。で、研究というのは、順調に行くことばかりではないということも理解しているようなんです。ただ、どうしても周りのポスドクや、かつての同僚や学生時代の同期なんかと自分を比べてしまい、そういう人たちが自分よりも恵まれている様子を聞いたりすると、自分の状況は何も変わっていないはずなのに、無性に悲しくなったり気持ちが落ち込んだりするようなんです。それにプラスして、周りが自分のことをどう見てるんだろうということが気になることもあり、いてもたってもいられない状況になることがあるようなんです」

教授「なるほど」

僕「この相談者は、自分の中に絶対的な評価軸を作り、それに基づいて自分の幸せをはかりたいと考えているようなんですが、どうしても他人と比較したり、他人からの評価が気になったりで困っているようなんです。なので、教授にどうすれば他人が気にならなくなるかのコツを教えてほしいようなんです」

教授「難しいな。一言では答えられん」

僕「では二言で」

教授「無理だな」

僕「じゃあ、さ(途中で遮られる)」

教授「そもそも、『他人との比較』と『他人からの評価』は全くの別物だ。両者を混同したらややこしくなる」

僕「と言いますと?」

教授「人間は社会的な生き物だ。他人との比較なしに自分の状況を理解するのは難しい。極端なことを言えば、自分が幸せかどうかは、ある一定のラインを超えるまでは、他人との比較によって決まる」

僕「ある一定のラインとは?」

教授「君では一生到達できないであろうレベルの物質的・精神的な豊かさを手にいれることだよ」

僕「・・・」

教授「ま、そのレベルに達したとしたとしても、多くの人は他人との比較で自分の幸せを確認しようとするがね」

僕「本当ですか?」

教授「人間なんてのは周りと比べないと自分がどんな状態にあるのかすらわからん生き物だからな」

僕「教授はどうです?やっぱり周りと比較して自分の幸せを測ってるんですか?」

教授「君を見るたびに自分は幸せだなと実感してるよ」

僕「・・・。でも、中には自分の中に幸せの評価軸を持っていて、それに基づいて自分が幸せかどうか判断している人がいますよね?」

教授「他人の心の中なんて俺にはわからん」

僕「いやまあそうなんですが・・・」

教授「そういえば、他人との比較については大昔に似たような相談がなかったか?」

僕「えぇ、その通りです。第9回にあります」

教授「じゃあ、そっちを読めばいいじゃないか」

僕「でも、その記事は書籍化されてしまったので、BioMedサーカス.comのページからは除かれてしまったんです」

教授「じゃあ本を買えばいいじゃないか。君に印税が入ったら、それで俺に酒をおごってくれるんだろ?」

僕「いやまあそうなんですが・・・」

教授「ま、相談者の気持ちはわかる。他人と比較するのは当然だ。で、その上で気分が落ち込んだとしても、そのことを気に病む必要はない。ヒトは他人と比較する生物だということを理解しておくだけでも気分的には違うだろう。いずれにしろ、他人と比較するときは、自分が見ている姿と実際の姿の乖離がないかを注意すべきだ。詳しくは250円を払ってを買うとよい」

僕「・・・商売上手ですね。でも、他人からの評価が気になるという点は?」

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