教授と僕の研究人生相談所



第79回(更新日:2018年3月13日)

ポスドク問題はオワコン 1ページ目/全2ページ

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教授「『バイオ業界を清浄化』というフレーズがそもそもおかしい」

僕「そうなんですか?」

教授「そうだ。そのフレーズは俺の発言を曲解して君が勝手に考えたものだろ?」

僕「じゃあ、実際はどんな感じなんですか?」

教授「聞いたら拍子抜けするぞ」

僕「そうなんですか?」

教授「そうだ。俺が関わったというか参加したのは、文科省の役人やら学術振興会のお偉いさんやら種々の学術関係の団体のトップやらとの意見交換会に参加したり、いくつかの大学のよくわからん学生支援団体の会合に出て意識高い系な学生と懇談したり面談したり座談会をしたり、バイオ業界のあれこれに興味のある企業やマスコミと議論をしたり、とかだな。あー、そういえば、その関係で海外に行って、現地にいる日本の役人やらグラント関係の仕事をしてる奴らとも話し合ったりしたことともあったな。どれもこれもくだらん思い出だ」

僕「・・・」

教授「どうした?」

僕「すごすぎて言葉が出ません・・・」

教授「はあ・・・(溜息)、俺は逆に君がバカすぎて言葉が出ないよ」

僕「え、どうしてですか?」

教授「はっきり言って、そんなことは大したことがないんだ」

僕「そんなことはないです」

教授「それがな、そんなことがあるんだよ(溜息まじりに)」

僕「本当ですか?」

教授「ああ、本当だね。俺も当時は若かった。君のように感じていたこともある。過去の自分を張り倒したい衝動を抑えられないくらいだが、実際のところ、そういう機会は自分が望めばいくらでも手に入るんだ」

僕「入りませんよ。現に僕はそんな機会に遭遇したことがないんですもん」

教授「君はまだ若いからな。だが、それでも、君が本当に望んで行動すれば、いくらでも、そういう『偉い』と言われる奴らが参加する会合に参加できる」

僕「本当ですか?どうすればいいんですか?」

教授「君は意識高い系なはずなのに、そんなことも知らんのか?」

僕「僕、意識高い系ですか?」

教授「うーん、ちょっと違うかもな。むしろムフフ動画系かな」

僕「そんな言葉ありません」

教授「じゃあこれから流行らせればいいだろ。研究の世界だって、次から次へと意味のないキャッチーなだけの新しい単語が出てきているんだ。で、大御所とか呼ばれてる奴がそういう単語を考えたりすると、それが新しい研究トレンドになったりするんだよな。実にくだらん。そんなことがまかり通るくらいにバカが多いから、バイオ業界が捏造まみれの腐りきった状態になってしまうんだ」

僕「さらっとバイオ業界の闇を混ぜないでください」

教授「ふん。で、何の話だっけ?君がどんなタイプのムフフ動画系かを明らかにしようとしていたんだっけか」

僕「どんなタイプのムフフ動画系って意味がわかりません」

教授「普段どんなタイプのムフフ動画を見ているのか、ってことだよ。君はもしかしてオールマイティータイプか?」

僕「意味がわかりません」

教授「どんなムフフ動画でもいけるってことだよ」

僕「わざわざ解説しなくてもいいです」

教授「解説するまでもないってことか?君の連載を読んでる奴らにとっては、そんなこと常識ってことか」

僕「話が脱線しすぎです」

教授「じゃあ続きは次回に」

僕「だめです。最近は月に一回更新できるかどうかも怪しいんです。切りの良いところまでいきます」

教授「ワタシ ソレ イヤ」

僕「片言キャラはもう通用しません」

教授「いやだっていっとろうが」

僕「よくわからない方言キャラも通用しません」

教授「で、何の話だっけ?」

僕「えっと、何でしたっけ?」

教授「この(ピー)め」

僕「その発言はまずいので伏字にしますね」

教授「ふん。まあいい。話を戻すぞ。官公庁なんかのお偉いさんと会って、あーだこーだと話し合う機会を持つのは簡単だって話だったろ。学生でも、駆け出しの研究者であってもな。意識高い系(笑)とされる奴らのイベント(笑)に足繁く通っていれば、そのうちすぐに声がかかるようになる」

僕「それ本当ですか?」

教授「本当だよ。俺はもうそういう会合には極力参加しないようにしているし、そういうのに興味のある奴らとも出来るだけ距離を置くようにしている。そんなことやってても全く研究は進まんし、そういうのに関わると驚愕すべきペースで自分の時間が消え去るからね。だが、三流老害教授になった今もまだ、色んな政治的絡みでそういうイベント(笑)に出ないといけないときが時々ある。ついこないだも、(ピー)省のお偉方が、色んな世代の研究者の話を聞きたいということで参加してきた」

僕「どこの省かは伏せておきますか?」

教授「念のためにそうしておいてくれ。でだな、その会合には、学生やらポスドクなんかも含まれてたんだ」

僕「全部で何人くらいいたんですか?」

教授「20人は軽く超えていた。下手をすると30人以上だったかもしれん」

僕「何時間の会合だったんですか?」

教授「2時間とかそこらだったな」

僕「え、そんな大人数でそんな短時間だったんですか?話まとまりました?」

教授「まとまるわけがない。俺は普段お世話になってる人からどうしてもと頼まれたから参加したんだが、事前情報はないに等しい状態だった。だが、その場にいって、参加者の人数とそいつらの役職・年齢を把握したとたん、これは(ピー)省のお偉いさんの実績作りだなと思ったね」

僕「実績づくり?」

教授「色んな人に会って色んなことを聞いて頑張ってバイオ業界を活性化させるためのあれこれをしてますよ、もしくはしてましたよ、ってことだ」

僕「・・・。で、会合はどうでした?」

教授「くだらんの一言だね。学生・ポスドクらは自分自身のアピールしかしないし、助教・准教授クラスは自分自身のアピールしかしないし、教授連中は自分自身のアピールしかしない」

僕「全員同じことしてますね・・・」

教授「その人数だと一人一人の発言の機会は1回か2回しかないからな。みんな自分をアピールするのに必死だ」

僕「教授はどうしてたんですか?」

教授「ペットボトルの水しか出さねーのかよ、って憤慨してた」

僕「水しか出なかったんですか?」

教授「官公庁は税金で色々やってるからな。豪勢な食事なんて出したら非難されるんじゃないか。それか、そんなミーハーな会合に出てくるアホな奴らには水で十分だとか思ったのかもな。よく知らんけど」

僕「なるほど」

教授「そういえば、(ピー)省のお偉いさんは、ポスドク問題があるということは把握してるけど、今はそれをどうこうするより、どうやって日本の研究業界を発展させるかに重点を置きたいって言ってたぞ」

僕「マジですか!?」

教授「マジデスヨ」

僕「片言キャラはもういいです」

教授「そうか。ま、俺もすげーことをサラっと言うんだなとちょっと驚いたね。でも、俺はポスドクの人生がどうなっても関係ないからいいんだけどね」

僕「・・・」

教授「今日は相談に答えていないけど、もう終わりにしていいか?もう帰りたいんだが」

僕「え?あ、もうこんな時間ですね。どうしましょう。何かひとつだけでも答えていただきたいのですが・・・。これとかどうですか?去年の4月に研究室に配属になった大学4年生の学生からなんですが、不器用で実験がいつも失敗するけどどうすればいいですか?というものです」

教授「バイオ研究者になるのは諦めなさい。ということで今日は終わり。ではサラバだ!(颯爽と去っていく)」

僕「・・・」

*僕からの追伸:この相談には次回にもっときちんとしたアドバイスを教授から引き出します

執筆者:「尊敬すべき教授」と「その愛すべき学生」

*このコーナーでは「教授」への質問を大募集しています。質問内容はinfo@biomedcircus.comまでお願いいたします(役職・学年、研究分野、性別等、差し支えない程度で教えていただければ「教授」が質問に答えやすくなると思います)。

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