教授と僕の研究人生相談所



第85回(更新日:2019年2月28日)

教授が疲れています

教授「君も忙しいはずなのに毎回毎回よく頑張るね」

僕「いえいえそんな。教授の方がずっとお忙しいのにすみません。僕は教授とお話が出来るだけで満足ですから」

教授「あ、そう。俺をヨイショしても何にも出ないよ」

僕「わかってます。で、今回はこちらの相談をお願いします。この相談者さんは、バイオ系の研究業界には数多くの問題があり、リアルやネットを問わず色んな点で議論されているけど、実は本当に重要な問題は議論すらされていないのではないかと思っているらしいんです。で、この業界の裏も表も知り尽くした教授に、『今はみんな気づいていないけど実は非常に重要な問題だ』というのがあれば、ぜひ教えてほしいということらしいんです」

教授「君の要約は相変わらずわかりにくいね」

僕「大丈夫です。僕らの連載の読者様はみな賢いので僕が言わんとしていることは理解してくれます」

教授「ま、相手がアホであっても誰彼かまわず褒め称えるのは処世術の基本だ。君もわかってきたね」

僕「さりげなく読者をDisらないでください。で、この質問についての教授のお答えは何でしょう。僕もぜひ知りたいです」

教授「ないよ」

僕「え?」

教授「この国のバイオ系研究業界には問題点なんか、なーんにもありません。万事順調。順風満帆を地で行くお国。これまでもそしてこれからも日本は押しも押されぬ世界に名だたる科学技術立国でーす」

僕「・・・たぶん、これを読んでる読者のかなりの割合が、教授のそのセリフにカチンときてると思います。あんまり世間を敵に回したらだめですよ」

教授「そうか。君も大人になったな」

僕「恐縮です。で、今回の質問に対するご回答は?」

教授「そんなこと俺に聞いてどうするよ。そんなの知らんよ、俺は。この相談者は学生だろ。そいつの教授なり准教授なり助教に聞いてみたら良い。みんな興奮して色々言ってくれるぞ。それか、適当にSNSでアカウント作って、こういう議論をしてる奴らに絡んでいけば、この業界の問題点を色々教えてくれる」

僕「教授のセリフ、微妙に毒があるように思うのは気のせいでしょうか?」

教授「気のせいだ」

僕「そうですか。でも、この点は教授も同意してくれると思うんですが、この業界って問題だらけですよね」

教授「この業界だけじゃないけどな。この業界で問題だとされている事柄は、他の業界でも起きている。この業界に特有の問題なんてないんじゃないか。『ない』というのを証明するのは難しいから、『今のお前のセリフの根拠を示せ(ビシッって指さしながら)』なんてネットで言われても根拠は示せないけどな」

僕「今の教授の『心底相手を小馬鹿にした表情』を文章では読者にお伝えできないのが非常に残念です」

教授「君の文章力のなさは神がかってるからな」

僕「お褒めいただき光栄です」

教授「君は本当にへこたれなくなったな」

僕「リアルではもっと辛い目にあってますから」

教授「そうか。精神は病むなよ。あれは後遺症が残る」

僕「お気遣いありがとうございます。で、この業界、まあ他の業界もそうかもしれませんが、本当に色々と問題があるとされていますよね。世代間格差や捏造や職の不安定さや給与の低さや将来のなさや男女差別やアカハラセクハラや、その他もろもろ」

教授「ま、そうだな。どれも俺には関係ないことだけどな。逃げ切りお気楽老害教授ってのは本当に貴族階級だな。笑いが止まらん、わっはっは」

僕「教授、もしかして疲れてます?」

教授「疲れてるよ。全く、この業界ほんと何とかしてほしいよな。次の世代のための立て直しをするのに、俺みたいなロートル世代まで巻き込まないでほしいよ。ま、こんな状況にしたのは俺ら世代なんだけどな」

僕「自虐も心なしかキレがありませんね。本当に疲れてるんですね。でも、教授の世代に問題があったとしても、そんな問題を引き起こした人たちは実際には責任は取らないんですよね」

教授「そうなんだよ。問題を引き起こした奴らは本当の意味では責任を問われず、むしろ自分たちが起こした問題を解決するためという名目で、そういう世代の人間に新たなポジションを作ったりしてるんだよな。そんな無能世代を雇う金があったら、将来ある若い奴らにポジションやれよって思うんだけど、そんなこと言ったら自分たちの食い扶持がなくなるから俺を含めた無能老人たちは誰もそんなことは言わない」

僕「たしかに」

教授「君に無能認定されるとはな」

僕「僕が同意したのはそこではありません」

教授「そうか。ま、こんな状況に陥らせた無能集団に問題解決をさせようとしても問題が大きくなるだけなんだけどな」

僕「ふと思ったんですけど」

教授「なんだ?」

僕「この会話をネットに出すと教授の素性ってばれます?」

教授「大丈夫だろ」

僕「わかりました。あと、教授の今回の一連の会話をネットに出すと、バイオ業界を良くしようと頑張ってる有能な人は怒ったりしませんか?」

教授「大丈夫だ」

僕「なぜですか?」

教授「そういう一握りの真面目で有能な人間は、こんな連載を見る時間がないくらい忙しく働いている」

僕「・・・」

執筆者:「尊敬すべき教授」と「その愛すべき学生」

*このコーナーでは「教授」への質問を大募集しています。質問内容はinfo@biomedcircus.comまでお願いいたします(役職・学年、研究分野、性別等、差し支えない程度で教えていただければ「教授」が質問に答えやすくなると思います)。

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