教授と僕の研究人生相談所



第93回(更新日:2025年2月18日)

伏せ字だらけの業界裏話

教授「寿司が食べたい」

僕「え?」

教授「こんなジャンクな食べ物はいやだ」(*注:この日は、某ファーストフード店で打ち合わせをしました)

僕「大きな声で言わないでください」

教授「寿司が食べたい」

僕「回るのでもいいんですか?」

教授「(ピー)とか(ピー)はいやだ。(ピー)ならいい」

僕「具体的な店名を言ってしまうと、教授がどのエリアに住んでいるかわかってしまいますよ。記事で固有名詞を載せてしまってもいいんですか?」

教授「それは困る」

僕「わかりました。で、なぜそんなにお寿司が食べたいんですか?」

教授「君はお寿司が食べたくないのか?」

僕「食べたいです」

教授「だろ?高級寿司とまでは言わない。適度なクオリティの寿司でいいんだ。この連載の本の印税で食べれないのか?」

僕「連載を再開したのが去年の年末です。次巻となる第7巻を出すには、まだ何回か連載記事を書く必要があります。というわけで、連載がんばりましょう。で、今回の記事では何を書きましょうか」

教授「質問メールは来ていないんだよな」

僕「来てないですね」

教授「じゃあ、この連載の読者はもういないってことだろ。次の巻を出しても売れないんじゃないか?」

僕「売れないでしょうね」

教授「じゃあ、印税で寿司が食えないじゃないか!」

僕「いきなり怒らないでください」

教授「寿司が食えないのに怒るなだと?君は何を言っているかわかっているのか?」

僕「教授が何を言っているのかわかりません」

教授「説明しようか?」

僕「いえ遠慮します。そろそろ本題に入りましょう」

教授「ホンダと日産?」

僕「話の流れが危険な方向に進みそうなので、その話題はやめましょう」

教授「そうか。で、今日は寿司の話をするんだったっけか?」

僕「全然違います。さすがに前置きが長すぎるので、やや強引ではありますが、話を連載に使えそうなトピックに移しますね」

教授「質問が来てないけど、どういうトピックにするんだ?」

僕「この業界の裏話とかどうですか?」

教授「裏話?」

僕「学会の懇親会とか飲み会とかで盛り上がるようなネタです」

教授「そんな話、ネットに書いてもいいのか?」

僕「書けるものもあるかもしれませんよ。最近はコロナも終わったし、学会とか研究会のあとで打ち上げとか飲み会とかもありますよね」

教授「おっさんやじじぃ連中ばっかりだけどな」

僕「時代ですね。若い人たちはそういうの出ませんもんね」

教授「ま、俺にしたらそういう方が気が楽だ。変に気を遣わなくてもいいからな」

僕「女性の参加者も多いんですか?」

教授「コメントを控えよう。今の時代、女性について何かコメントをすると予期しないところから思わぬ攻撃を喰らう」

僕「教授も苦労してるんですね」

教授「まあな。でも、色々な意味できちんとしている女性研究者も大変だなと思うよ。おかしな女性研究者がいるから、女性はダメ・女性は危険、ということで、リスク管理がしっかりしているまともな男性研究者は女性と長すぎる距離を置いていたりするからな。ま、おかしな女性研究者の周りの男性はもっと苦労しているがね」

僕「何かあったんですか?」

教授「聞きたいか?というか聞いてくれるのか?」

僕「いえ、今日は遠慮しときます。もっと気軽に聞ける裏話とかないですか?」

教授「ふん、君は相変わらずつれないな」

僕「恐縮です」

教授「褒めてないけどな」

僕「で、他には何か裏話はないですか?」

教授「そうだな。こないだ盛り上がったのは、(ピー)が女癖が悪いという話だったな。その場にいた連中の半分くらいが知ってたよ。お互いに全然違う大学で働いているのにな」

僕「その個人名は伏せ字にした方がいいですよね」

教授「公知の事実のような気もするが、念のため伏せ字にしておこう」

僕「他に何か裏話ってありますか?」

教授「ありきたりだが、どこどこの誰々が捏造してるとか、どこどこの誰々は大した業績も知識もないのに偉くなってるとか、どこどこの誰々はボスの愛人っぽいとか、そういう下世話な内容だな。ま、懇親会によっては、真面目に研究の話をしたりすることもあるがね」

僕「この業界の問題点とかについて議論することもありますか?」

教授「もちろんある。どこどこの誰々は、(ピー)を牛耳ってるから研究費が取りやすいとか、他にも、(ピー)を味方につけないと(ピー)からは研究費が取れない、とかだな。公平性や透明感なんて微塵もない」

僕「なんか、闇そのものですね」

教授「そういうのは、どこの業界も一緒だよ」

僕「そういえば最近、テレビ業界とか芸能界の色々な問題が取り立たされていますが、ああいう女性関係の問題って、僕らの業界にもあったりしますか?」

教授「さすがに俺らの業界は、テレビ業界とか芸能界ほどは酷くないと思うよ」

僕「ですよね。今はコンプライアンスがうるさいですから」

教授「まあな。でも、それでもやっぱり、昔ながらの大御所がいる大きなラボだと、ラボの飲み会とかでは女性が偉い人の隣にいたりするよな。学会でも、自分のお気に入りたちを引き連れて学会会場とかを歩き回る偉い奴らを目にすることはある」

僕「今でもあるんですね。というか、昔はそういう光景をもっと頻繁に目にしたんですか?」

教授「まあな。昔は嫌々ボスの言いなりになっていた女性もそれなりにいたんじゃないかなと思うよ。今はそんなことしたら上は一発アウトだがね」

僕「でも、そうすると、この時代にそういう偉い人の近くにいる女性って自ら志願して近寄ってるってことなんですか?そういう女性って何が目的なんでしょうか」

教授「それは俺の口からは言えん。危険すぎる話題だ」

僕「内容がsensitiveすぎますもんね。ちなみにですが、某事務所のように偉い男性が若い男性が好みで優遇するっていう事象は、僕らの業界でもあったりしますか?」

教授「普通にあるね。アカデミアや企業を問わず、そういう例は何度も聞いているし、俺も目にしたことは何度もある。もちろん、偉い女性が好みの若い男性を優遇するということも普通にある。ほら、ちょっと前に君に言った、(ピー)の(ピー)とか、(ピー)の(ピー)とかが良い例だろ?」

僕「たしかに・・・。そういうのも芸能界だけの話じゃないんですね」

教授「人間の基本的な性質の一部だからな、人が集まるところは業界問わずというか古今東西、同じような問題が出てくるんだろうよ。まともできちんとした人間が損をするんだ」

僕「今回も気が重い内容になってしまいましたが、この話の着地点はどうしましょう」

教授「君が始めた話題だろ。そんなの君が考えるべきだ」

僕「まあ確かにそうなんですが・・・」

教授「あ、そういえば学会の後の飲み会ということで思い出した。こないだの某研究会のあとの打ち上げが海鮮系料理を出す某チェーン店だったんだが、そこの刺身や寿司が不味かった。それなのに金額は高かった。思い出したらまた腹が立ってきたぞ。美味しい寿司が食べたい!!」

僕「じゃあ頑張って連載をもっと続けて第7巻を出しましょう!そうすれば印税で一回くらいは回らないお寿司を食べられますよ」

教授「でも、もうこの連載の読者はいないじゃん。本を出しても売れないよ」

僕「じゃあ、こうしましょうよ。書籍化の際には伏せ字を外すんです。そうすれば売上はすごいことになりますよ!訴えられて結果的にはすごいマイナスになりそうですが」

教授「・・・」

執筆者:「尊敬すべき教授」と「その愛すべき学生」

*このコーナーでは「教授」への質問を大募集しています。質問内容はinfo@biomedcircus.comまでお願いいたします(役職・学年、研究分野、性別等、差し支えない程度で教えていただければ「教授」が質問に答えやすくなると思います)。

本連載の書籍化第6弾です!

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