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第2回(更新日:2013年9月10日)

同じ論文を他の言語で出版するのは重複になる?

Dr. Eddy


【読者からの質問】
日本語で出版した論文を、英文ジャーナルで発表することはできるでしょうか。日本では、同じジャーナル論文を違う言語で出版することは重複出版とはみなされませんが、海外ではどうみなされるのでしょうか?


ジャーナル編集者もわかっていない重複出版の曖昧さ
前回の自己剽窃の記事に続く、興味深いご質問ですね。重複出版というのは曖昧なところで、著者や、ジャーナル編集者でさえも全員が良くわかっている訳ではありません。

ほとんどの場合、重複出版は学術的詐欺の一種と考えられていますが、The International Committee of Medical Journal Editors(ICMJE)は、すでに出版されている論文を認められる形で再出版することを「二次出版」(secondary publication)と呼びます。その論文が他のジャーナルや他言語で再出版されることで、多くの読者の目に触れる必要があるという稀な場合も、二次出版に含まれます。

二次出版が容認される場合とは?
しかし、他の言語で出版する場合でも、二次出版が容認されるには、以下の条件を満たしていなければなりません。

 1.著者は両方のジャーナルの編集者から正式な許可を受け、二次出版するジャーナルの編集者は最初に出版されたときの原稿のコピーを持っていなければならない。

 2.最初の出版と二次出版の間には短くとも1週間の間隔が空いていなければならない。

 3.二次出版される論文は最初の出版とは明らかに異なる読者層を対象とし、最初に出版した論文で議論したデータや解釈を忠実に反映させていなければならない。

 4.二次出版では、論文タイトルにおいてその論文が以前に出版されていることを示しめさなければいけない。また、表題ページの脚注で最初の出版を参考文献として明記しなければならない。

よって、ご質問にお答えするなら、以上の条件を満たしていない限り、前に出版した論文を他の言語で出版することは、重複出版と見なされてしまうでしょう。一番重要なことは、両方のジャーナルの編集者が事情を知っていて、再出版に合意していることなのです。

また、この記事に関する意見や、他のご質問がありましたら、英文校正エディテージdr.eddy@editage.comまでお送り下さい。

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記事執筆:カクタス・コミュニケーションズ株式会社【英文校正エディテージ】http://www.editage.jp/

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