Dr. EddyのQ&Aにようこそ!
Tweet第3回(更新日:2013年9月17日)
査読者コメントへの返答でするべきこと、するべきでないこと
【読者からの質問】
査読者コメントへの適切な回答をまとめるのはとても骨が折れるのですが、なにかコツはありませんか?
査読者のコメントは冷静かつ客観的に対応しよう
査読者コメントへの回答は、かなりの経験を積んだ著者でもくじけそうになる仕事です。査読者は時に長ったらしくて、どの点に答えればいいか分かりづらいコメントを書いてきます。投稿した原稿に査読者コメントが返ってきたら、何度か注意深く読み通してみて下さい。
最初に読んだときは、この査読者は自分の研究をきちんと理解していない、または理不尽な要求をしていると思えて腹が立つかもしれません。そんな風に感じたら、その時の気持ちのままで回答を書かず、少し時間を置くことが大切です。何日かかけてコメントを何度か読み返して下さい。客観的な態度でコメントを読んでみると、査読者の視点を違う角度から解釈できるようになり、どのように回答すればいいかすっきりした頭で考えられるでしょう。
査読者の関心を突き止めるのが大事
まず、査読者の主な関心はどこにあるか突き止め、コメントへの回答を作成しましょう。
・ 例えば、コメントのほとんどはあなたの使った研究方法についてだったでしょうか?
・ あるいは、査読者はあなたが結果を分析した方法に対して質問しているのでしょうか?
・ 主張を裏付けられる追加データはありませんか?
査読者のコメントが長文であるなら、個別に答えられるようにポイントごとに分けてください。1つのコメントに対して複数の解釈ができるときは、あなたがコメントをどのように理解したかについて説明するところからはじめ、自分の主張へとつなげましょう。
では、何をすればいいのか? 何をすべきではないのか?
査読者への回答をおこなうなかで、以下のするべきことと、するべきでないことを心がけて下さい。
すべきこと
・ 自分の研究を良く知っている共著者や同僚に相談すること。共著者とブレインストーミングすると、複雑な査読者コメントに対処する最良の方法が見つかることがよくあります。
・ 全てのコメントにひとつひとつ回答しているか確認すること。コメントで指摘された点がすでに元の原稿の中で触れられているときや、コメントでの提案が現在の研究の範囲外だと思われるときは、その事も述べておきましょう。
・ コメントや提案に賛成できないときも礼儀正しく回答すること。
・ 主張の裏付けのために、必要なところには文献の引用や追加・未発表のデータをもれなく入れること。
・ 査読者の提案に従って原稿を変えたところを明確に示していることを確認して、速やかに再投稿すること。
するべきでないこと
・ 全てのコメントについて論争すること。もし査読者がマイナーな修正を提案してきて、その提案が、完全には同意できなくても簡単に応じられて、論文の価値を損ねないものだったら、論争するより提案を受け入れるほうが簡単かもしれません。
・ 査読者からのネガティブなコメントを個人的な攻撃と受け取ること。コメントを中立的な視点から見て、最善を尽くして回答しましょう。
・ 査読者からのオリジナル・生のデータの要求を断ること。
・ 反論レターの中で、「我々は全く同意できません」というようなフレーズを使うこと。
査読後に論文がリジェクトされた場合や、査読者コメントへの回答が難しすぎると思われる時には、多くの場合著者はコメント回答よりも別のジャーナルへの投稿を選びます。その場合でも、次のジャーナルでのアクセプトのチャンスを広げるために、なるべくコメントに従って論文を見直した方が良いでしょう。
以上、この回答が質問者のお役に立てれば幸いです。
査読者コメントへの回答であなたが困っている具体的な問題があれば、英文校正エディテージ dr.eddy@editage.comまでお送り下さい。
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記事執筆:カクタス・コミュニケーションズ株式会社【英文校正エディテージ】http://www.editage.jp/