失楽 ー夢から覚めた、その先はー
Tweet第7回(最終回)(更新日:2014年09月13日)
最終回
研究に必要なものは何ですか?
莫大な研究費ですか? 最新の設備ですか?
……もちろん、それらも必要でしょう。
けれども、もっと大事なものがあると思うのです。
【それから】
ひと月ぶりに研究室に顔を出し、「研究室移動願」を提出しました。
それは驚くほどあっけなく受理されました。
・・・まるで、こうなることを待っていたかのようでした。
研究室を移ってしばらく。
私は今、研究室の休憩時間にこれを書いています。
新しい研究室にも、ようやく慣れてきました。
嵐の様な日々でした。
夢を手放した今、不思議なほど心は凪いでいます。
「研究者になりたい」
「企業の研究職に着きたい」
・・・そんな贅沢は望まないから。
ただ、平穏無事に残りの研究室生活を終えることが出来れば、それだけで私は満足なのです。
***
さて、私の物語はここで幕を閉じます。
いかがでしたでしょうか?
サクセスストーリーとは程遠い、失敗ばかりの物語。
この連載が、少しでも皆様のお心に留まったのであれば、作者としてこれほどうれしいことはありません。
さいごに、
皆様はどうか私のようにはならないでください。
未来をあきらめないでください。
夢を手放さないでください。
それでは皆様、お元気で。
ここまでお付き合い頂き、本当にありがとうございました。
皆様の心と体の充足を、心よりお祈り申し上げます。
では、またどこかでお会いできますことを願って。
残暑の日差しに目を細めながら
万久里