■TAKAKOの文献紹介
第1回:FGF9と血管新生〜Nature Biotechnology誌から(2011年4月25日更新)
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BioMedサーカス.comの読者の皆様こんにちは。「TAKAKOの文献紹介」を担当するTAKAKOです!
私は理系大学院に通う大学院生で(今はやりの理系女子!)、細胞の増殖・分化のメカニズムに興味があります。将来の夢はサイエンスライターやサイエンスコミュニケーターとして、専門的な研究内容を一般の人にも分かりやすく伝えていくことです。
このコーナーでは、サイエンスライター見習いのTAKAKOが興味を持った学術論文を、専門外の人にも理解してもらえるような文章で紹介していこうと思ってます。研究者としてもサイエンスライターとしても未熟ですが、精一杯頑張っていくので暖かく見守っていただければ嬉しいです。
さて、第1回目の今回はNature Biotechnology誌に発表された『Fibroblast growth factor 9 delivery during angiogenesis produces durable, vasoresponsive microvessels wrapped by smooth muscle cells.(Frontini MJ et al.)』を紹介します。
タイトルをTAKAKO流に日本語訳すると、血管新生が起こってる場所に線維芽細胞増殖因子9(FGF9)を運ぶと平滑筋細胞に囲まれた丈夫で反応性のある血管ができるよ!という感じになります。・・・って専門外の人だと全く意味がわからないですよね。
私たちの体には血液を流すための血管が張り巡らされていて、新しく血管が作られることを血管新生(angiogenesis)と呼びます。体が成長するときに血管は次々と作出来ていきますが、大人になってからも血管新生は見られます。特に、ケガなどから治るときには私達の体は積極的に新しい血管を作ろうとします。そのため、血管新生を促進させようという試みはtherapeutic angiogenesis(血管新生療法)として様々な疾患領域で注目されているのですが、世の中(体の中?)はそんなに甘くないようです。
血管は血液の管ですが、いわゆる水道管とは異なり、外からの刺激によって伸び縮みします。そうすることによって、血管は体の各部位に到達する血液量を調整しているのです。そのような機能的な血管を”薬”で作りだすのは実はかなり難しいことです。血管を構成する血管内皮細胞を増やす薬などはあっても、きちんと外からの刺激に応じて流れる血液量を調節できる血管を生じさせる方法はありませんでした。
この研究は、FGF9という物質が機能的な血管を生じさせることが出来るとうことを実験的に証明したものです。特に興味深い点は、FGF9が血管の周りの細胞(平滑筋)に作用しているということです。この論文では、血管新生療法には血管にダイレクトに作用する薬剤だけではなく、周囲の細胞の働きも増強させるようなものが必要だとまとめていました。
という感じで第1回目は終わりです。研究内容を理解するのも文章を書くのも難しいですね。これからも頑張っていきますので宜しくお願いいます!(連載を打ち切られないといいなあ・・・ボソ)