■TAKAKOの文献紹介
第2回:オリゴデンドロサイトへの分化〜Journal of Neuroscience誌から(2011年5月3日更新)
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TAKAKOです!皆さんゴールデンウィークはいかがお過ごしですか?私は研究室に配属されてからはゴールデンウィークとは無縁の生活をおくっています。だって、かわいい細胞ちゃんたちが待ってますからね!
・・・さて、第2回目となる今回の「TAKAKOの文献紹介」は、Journal of Neuroscience誌の2011年4月20日号に掲載された3報の論文を紹介します。それぞれのタイトルは...
Astrocytic Tissue Inhibitor of Metalloproteinase-1 (TIMP-1) Promotes Oligodendrocyte Differentiation and Enhances CNS Myelination.(Moore CS et al.)http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21508247
Oligodendrocyte Progenitors Reversibly Exit the Cell Cycle and Give Rise to Astrocytes in Response to Interferon-{gamma}.(Tanner DC et al.)http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21508246
Astrocytes from the contused spinal cord inhibit oligodendrocyte differentiation of adult oligodendrocyte precursor cells by increasing the expression of bone morphogenetic proteins.(Wang Y et al.)http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21508230
です。
どれもオリゴデンドロサイト(oligodendrocyte)という細胞に関する論文です。と言っても、普通の人はオリゴデンドロサイトって何?って感じですよね。ということで、まずはオリゴデンドロサイトについて簡単に説明します。
オリゴデンドロサイトは脳などの中枢神経系にある細胞の一種です。主な役割は、神経細胞同士の情報伝達をサポートすることにあると考えられています。神経細胞は何本ものながーい手を伸ばしています。それで、お互いに手と手を取り合って情報を伝達しています。で、その長い手を包んでいるのがオリゴデンドロサイトです。そうすることによって、情報の伝達スピードを格段に向上させています。
・・・わかりにくい説明ですね。ごめんなさい。マウスのコードを例にとってみると、中身の導線が神経細胞の手、それを包んでいるゴム製の物質がオリゴデンドロサイトということになります。え、ワイヤレスのマウスだからコードがない?・・・技術の進歩ってすごいですね。
さて、そんなオリゴデンドロサイトですが、この細胞はいきなり神経細胞の手を包むことが出来るわけではないのです。まずはオリゴデンドロサイト前駆細胞として中枢神経系に登場し、それが成長(分化)することで一人前のオリゴデンドロサイトになります。
オリゴデンドロサイト前駆細胞からオリゴデンドロサイトへの分化は主に子どもの頃に集中的に起こります。ですが、大人になってからも分化が起きることもあります。特に中枢神経系が障害を受けたあとには、修復機構としてオリゴデンドロサイトへの分化が一時的に活性化されることがわかっています。ですが、その分化のメカニズムは未だ完全には理解されていません。
ということで、今回の論文はオリゴデンドロサイトへの分化のメカニズムを調べました、ということになります。何だか文献紹介というよりは紹介文献の背景紹介という感じになってしまいましたね。うーん、文献紹介の記事を文章で書くって難しい・・・。ということで次回(があれば・・)もよろしくお願いします!