■TAKAKOの文献紹介
第7回:私の影響力を見くびってもらっては困る by VEGF〜J Neurosci誌から(2011年8月10日更新)
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室温37℃。通常の実験室でも大腸菌の培養が出来るなんて素晴らしいですね。電気を使う必要がありません。ビヴァ、エコ環境!って暑すぎだよ。
という感じで暑さで脳がやられているTAKAKOです。夢はサイエンスライターです。皆さんお元気ですか?
今回紹介する論文は、Journal of Neuroscience誌に掲載された「Vascular endothelial growth factor regulates the migration of oligodendrocyte precursor cells(PMID:21775609)」です。TAKAKO流に和訳すると、「いや〜、あのときオリゴデンドロサイト前駆細胞を動かしたのは実は僕だったんだよね(VEGF談)」となります。最早、何が何だかわかりませんね。全て暑いのがいけないのです。
ちょっと真面目にいきます。今回の主役はVEGFとオリゴデンドロサイト前駆細胞です。VEGFはVascular Endothelial Growth Factorの略で、日本語では「血管内皮細胞増殖因子」と訳されます。その名の通り、血管を構成する血管内皮細胞の増殖を引き起こす役割を持っていて、これまでに色んな研究グループが、この作用に関するメカニズムなどを研究してきています。ですが、実はVEGFは神経細胞やアストロサイトといった別のタイプの脳細胞にも影響を及ぼすことが明らかになってきています。そして、今回の論文では、VEGFは脳の白質を構成するオリゴデンドロサイトの系統にも作用しうることを初めて示しました。
VEGFは"Vascular" Endothelial Growth Factorと名付けられているものの、実は他の細胞の制御もしているのですね。まるで、アメリカ大陸をインド大陸と勘違いして、アメリカ先住民にインディアンって名付けてしまったようです。
ところで、この論文には注目すべき点がもう一つあります。それはAuthor Listです。Co-authorにAngelという名の人がいます。日本語訳すると「天使」です。しかも、1st authorとlast authorは名前を見る限り日本人っぽいです。ということは。。。
1st author「Angelちゃん超可愛い!」
last author「Angelちゃんマジ天使!」
という感じに研究室で話していたりするのでしょうか?
・・・って、そんなことはないですよね。所属を見るとハーバード大学医学部のようですし、きっと真面目に研究の議論を重ねているのだと思います。大変失礼しました。全部暑いのがいけないのです。ということで次回までサヨウナラ(扇風機の前でアーアーアーって言いながら)。