■TAKAKOの文献紹介

第9回:グルタミン酸を除去すると・・・〜Anesthesiology誌から(2011年12月29日更新)

2011年最後の「TAKAKOの文献紹介」!

この記事を書いているのは12月25日なんですが、果たしてBioMedサーカス.comの担当さんは今年中に記事をアップロードできるのでしょうか?(年末ギリギリまでごめんなさい。)

え、クリスマス?私はTAKAKO教の信者なんでクリスマス関係ないです。ちなみにTAKAKO教の教典は「TAKAKOの文献紹介」です。あと、私の夢はサイエンスライターとサイエンスコミュニケーターです。来年こそは夢を叶えるために頑張ろう。

さて、今回紹介するのはAnesthesiology誌に掲載された「Effect of glutamate and blood glutamate scavengers oxaloacetate and pyruvate on neurological outcome and pathohistology of the hippocampus after traumatic brain injury in rats.」という論文です。

著者達はラットのtraumatic brain injuryモデルを使って実験をしています。traumatic brain injuryは日本語に訳すと脳挫傷ということになります。交通事故や転んだりで頭を打ったときなどに脳挫傷になってしまうことがあるのですが、脳がダメージを受けるので予後があまり良くない(日常生活に戻るのが難しい)疾患です。また、サッカーやラグビーなどのスポーツでも脳挫傷になることがあるので、若い人にも関係のある脳の疾患として考えられています。

この論文では、血中のグルタミン酸を除去できる薬剤を投与すると、脳挫傷になったラットの回復が良かったということを報告しています。脳が障害を受けると、脳内でのグルタミン酸濃度が上昇して神経細胞などにダメージを与えることが知られています。また、脳内で増えたグルタミン酸の一部は血中に移行することも知られています。そのため今回の論文では、血中グルタミン酸の濃度上昇を薬で抑えるという方法が脳挫傷の新しい治療戦略として臨床応用できるかもしれないと結んでいます。

ところで、この論文の著者の中にYale University School of Medicine, New Haven, Connecticutに所属している人がいます。その昔、私が研究室に配属になった直後、研究室の先輩に「Yale大学ってコネチカット州のNew Havenってところにあるんですね。“新しい天国”って感じでかっこいいですね!」って目をキラキラさせながら言ったところ、「つづり違うよ」と冷たく言い放たれたのを思いだしてしまいました。

ということで2011年のTAKAKOの文献紹介は今回で終わりです。2012年が私にとって素晴らしい1年になりますように!


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