研究こぼれ話
Tweet2011年7月14日
ポスドクの給料に関する考察〜インターネットを用いた検索
ポスドクの給料に関して、インターネット上にある情報を用いて考察してみました。
まずは、「ポスドク AND 給料」でGoogle検索をして、100件以内のページにあったQ&A形式のサイトの内容を要約してみます。
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OKWave 2007年11月15日
ポスドクでアメリカにお勤めの方教えて頂けますでしょうか
http://okwave.jp/qa3519439.html
質問者:初年度は年収300万円 (←UCバークレーに留学する夫のケース)
回答者A:450万円〜550万円が周りの平均らしい。 (←カリフォルニア州在住。夫がポスドク。)
回答者B:500万円〜600万円を提示される模様。 (←アメリカ東海岸在住。)
発言小町 2007年08月10日
ポスドクの夫の将来が不安です。
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2007/0810/142008.htm?o=0&p=2
回答者:日本で最高600万円、アメリカで最高450万円 (←回答者の印象)
BIOIMPACT 2006年09月11日
ポスドク
http://oshiete.bioimpact.jp/qa2398183.html
回答者:1年目のポスドクで年収350万円程度が相場ではないか。 (←回答者の素性わからず)
Yahoo 知恵袋 2005年08月19日
ポスドクの年収って税込みどれくらいでしょうか?僕は600万くらいです。やっぱり...
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q125673817
質問者:年収600万円 (←質問者の給料)
回答者:年収450万円 (←回答者の所属大学の基準)
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ポスドクの給料に関する内容を扱ったページは多かったのですが、意外に「給料の額」に言及したページは少なかったです。ですが、上記の内容を見る限りでは、ポスドクの給料は450±150万円となるようです。
ただ、バイオ系研究者のポスドクで年収500万超というのは、私の経験および収集した情報からすると非常に稀です。日本人が海外のラボでポスドクをする場合、500万円以上の給料をラボから受け取る場合は「特別な何か」を持っていると考えて間違いないと思われます。
例えば、そのラボに5年以上いて実質的に現場のトップになっていたり、その人だけが出来る実験技術がある、などです。また、実験技術などの実用面だけではなく、有名研究者からの強力な推薦(後盾)といったコネ的なものも「特別な何か」に含まれます。
さらに、大学のスタッフとしての扱いを受けている人(職位としてはインストラクターなど)もポスドク(もしくはシニア・ポスドク)と呼ばれることがあるのですが、そういう人の給料は普通のポスドクよりも高くなっています。そのため、そういうポスドク以上アシスタント・プロフェッサー未満の研究者も“ポスドク”として考えてしまうと、ポスドク給料の平均値が上方にシフトしてしまいます。
さて、以下に、ポスドクの給料をネットで調べる場合の注意点を列挙しておきます。
− 提示されている給料の値段はどこの国の話なのか?
− その情報を示した人は誰なのか?ポスドクについて詳しい人なのか?
− 情報源は何か?公式に出ている情報か?知り合いからか?自分の印象か?単なる噂か?
− その給料をもらっている人の国籍は何か?日本人なのか?現地の国籍を持った人なのか?
− その給料はどこから出ているのか?国から出ているのか?ラボから出ているのか?
− 例として出されている給料をもらっている人は誰か?自分自身か?知り合いか?知らない人か?
ポスドク1人1人の状況はかなり異なってきています。そのため、上記の点に注意しないままネットの情報を信じてしまうのは少し危険です。
例えるならば、「ベンチャー企業の社長の給料はいくらですか?」という質問に「僕の周りでは平均800万円くらいです」という回答があったとして、ベンチャー企業の社長の給料は800万円くらいなのだと信じてしまうのが、どれだけ正しくないかを考えると良いかもしれません。
今回の考察が、これからポスドクをしようと考えている人にとって少しでもお役に立てれば幸いです。
執筆者:RACOON