研究者の声:オピニオン



2018年4月11日更新

研究費申請書についての素朴な疑問:今すでにあるデータで研究費申請書を書くことについてどう思う?


皆さん科研費の採択では悲喜こもごもだったのではないでしょうか?

幸い私の周囲では、今年の研究費の採択率は高かったようです。ですが、研究費申請書の内容に関して日々疑問に思っていることがあるので、ここBioMedサーカス.comのオピニオン欄でその疑問を皆さんと共有させていただきたいと思います。

皆さんの周りにいるかどうかわかりませんが、私が聞くところによると、もうすでに実験データが出ているにも関わらず、その結果を得るための実験計画を研究費の申請書に書いている人がそこここにいるようです。より酷いケースになると、論文として発表しているデータであるのに、その実験内容を「実験計画(=研究費が採択されたら行う)」として研究費の申請書に加えることもあるようです。

私が学生のころ、プレリミナリーなデータ(予備的な実験で得られた結果)を申請書に加えて、提案した研究プロジェクトの実現可能性を上げるようにと指導教官から言われていました。

そのアドバイスそのものは理解できるものなのですが、そうすると、プレリミナリーなデータは、どの辺までが文字通りの「プレリミナリーなデータ」になるのでしょうか?

例えば、ある申請書の中に、大きな実験予定を4つほど提案するとします。私としては、そのうち1つくらいは「プレリミナリーなデータ」としてすでに持っている(完成している)くらいが妥当ではないかなと思っています。

ところが、研究者によっては、申請書内にある4つの実験予定の4つともに「プレリミナリーなデータ(という名目の完成データ)」を持っている申請者がいたりするようです。さらに言えば、論文として発表した内容の実験を「実験計画」として申請書に記載する研究者もいるようなことを耳にすることもあります。

すでに実験データが手元にあるのに、あたかもその実験はまだ行っていないふりを装って「XXの理由でその実験を行いたい」と申請書に書いて研究費を獲得し、そのようにして得られた研究費を申請書本来の目的とは別の研究に使い、そしてその研究で得られたデータをもとに次の研究(←申請書に記載する内容ではない!)をするための研究費の申請をすることが横行していると聞きます(横行というのはやや言い過ぎですが)。

しかし、研究費の申請書とは本来、自分が遂行したい研究があって、それを行うための費用を申請するものではないでしょうか。今の状況だと、何のための研究費を申請しているのか、また、お金を出す側も何のために研究費を出しているのか、がわからなくなってしまいそうです。

皆さんは研究費申請書に含めるプレリミナリー・データ(の割合や量)についてどう思いますか?


執筆者:悩める50代


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