海外ラボリポート
Tweet平野有沙 博士 〜米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校から(2015年10月7日更新)
はじめに
この度は、留学体験記の執筆の機会を与えていただきどうもありがとうございます。私は東京大学理学系研究科で深田吉孝教授のご指導のもと学位を取得し、カリフォルニア大学サンフランシスコ校でポスドクとして留学生活を送っています。留学を初めてから1年半、これまでを振り返ることで、次世代を担う研究者の方たちの参考になればと思います。
留学先の決定
私は日本では、生物が体内に備える時計機構の発振メカニズム、特に時計タンパク質の翻訳後修飾の役割について研究していました。学位取得後に留学しようと考えるようになったのは博士課程2年の頃で、ちょうどそのとき東大生命系のグローバルCOEでアメリカの研究機関に学生を派遣するプログラムがありました。学生がNIH(米国国立衛生研究所)かUCSFのどちらかを選び、学内リトリートに参加できるプログラムです。UCSFの場合は、ホストラボを1つ選んでラボ見学とセミナーをする条件があり、それさえ満たせばその後アメリカ内の研究室をどこでも見学しに行っても良いことになっていました。
UCSFで時間生物学と言えば、ヒト遺伝学を中心にした研究でこれまで多くの重要な発見をしてきたDrs. Louis Ptacek & Ying-Hui Fuラボ(ダブルPI)がよく知られていたため、迷わず彼らのラボをホストラボに決めました。彼らの研究の中でも、家族性睡眠相前進症候群(Familial Advanced Sleep Phase Syndrome)の原因変異の発見は、ヒトでの時計タンパク質PER2のリン酸化シグナルの重要性を示した仕事として有名です。
セミナーでは1時間ほどのプレゼンテーションをし、そのあと両ボスとの面談、ポスドク全員と30分ずつの面談の時間を用意してもらいました。私は時計タンパク質のリン酸化とユビキチン化を研究対象としていたこともあり、両ボスにはとても興味を持ってもらえ、実際に留学先を決めた大きなきっかけになりました。その後、研究室のOBが留学されていたアーバインやサンディエゴにも足を伸ばしました。現在、日本からこのようなプログラムで大学見学や短期留学をしている学生に多く出会います。全体的にとても有意義な体験だったので、留学を考えている大学院生は同じようなプログラムを探して参加してみると良いと思います。
キャンパスの中に突如現れるピラミッド