研究なんて辞めてアフィで生計立てようぜ!



最終回(更新日:2021年2月4日)

研究でもアフィでも生計は立てられませんでした

BioMedサーカス.comの皆様、大変ご無沙汰しております。「元研究者」です。前回の記事が掲載されたのが3年前ということで、BioMedサーカス.comのほとんどの読者の方が私のことをご存知ないかと思います。そのため、まずは、おさらいを兼ねて自己紹介を簡単にさせていただきます。

私「元研究者」は、その名が示すように、以前はバイオ系の研究者をしておりました。それなりの大学(@日本)できちんと博士号を取得し、それなりのラボ(@アメリカ)で留学生活を送り、それなりの大学(@日本)でアカポスを獲得して研究をしていたものの、ふとバイオ系の研究者としての日々の生活に虚しさを感じ、研究とは全く別の職種に転職しました。

そこら辺の細かな経緯は、「オピニオン記事:さらば研究職」にて書かせていただきました。今ではもう覚えている方はほとんどいないとは思うのですが、そのオピニオン記事が掲載された当時は、自分でもびっくりするくらい反響がありました。あえて読者の皆様を煽るような表現で文章書いたのでプチ炎上くらいはするかなとは思っていたのですが、予想以上に皆様が激怒されて厳しいコメントを多数頂戴いたしました。今になって振り返ると、あんな煽り文章を書くのではなく、淡々とバイオ業界の問題点や課題を書き綴った方がよかったのかなと感じています。真面目に研究を頑張っている人をいたずらに傷つけたりしてとても反省しています。

ただ、当時は腐ったバイオ研究業界(腐っていたのは私の心と研究者時代の私の周囲の環境だけだったのですが)を去った開放感で、ちょっと調子に乗っていました。しかも、自分の煽り文章に怒っている人たちを見て、さらに調子に乗る(=ざまあ見ろという気持ちを持つ)という悪循環にも陥っていました。申し訳なく思っています。

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その当時、他人を馬鹿にしたり煽ったりすることで注目を浴び(=アクセス数を稼ぐ)、ホームページやブログでのアフィリエイトで稼ぐということが流行っていました。「オピニオン記事:さらば研究職」の炎上で調子に乗っていた私は、こともあろうかBioMedサーカス.comでの炎上狙いのアフィ連載「研究なんて辞めてアフィで生計立てようぜ!」を始めることになりました。今考えると暴挙以外の何物でもないのですが、BioMedサーカス.comの編集部様は、この連載を始めることを快く認めていただいただけでなく、毎回の原稿も丁寧にチェックしてくださるという、まさに神様・仏様のようなご慈悲を与えてくださいました。

とはいえ、そんな手法(煽り文章で集客してアフィで稼ぐ)は所詮はくだらない宴会芸と変わらず、そんなことでは簡単にお金を稼げるわけがありません。実際に私の連載記事も20回ほど記事を書いたものの、アフィでの収入は合計でも1万円弱にすぎませんでした。

しかも、もともと私の性格的に、煽り文章を書くことは向いていませんでした。「オピニオン記事:さらば研究職」や「連載記事:研究なんて辞めてアフィで生計立てようぜ!」の最初の方は、辛い環境でのバイオ研究者を辞めた開放感から一時的な「躁」の状態になっていて、すらすらと煽り文章が出てきました。ですが、新しい生活(バイオ研究とは関係ない職)に馴染むにつれて心の平穏を取り戻し、それにつれて煽り文章を書くことが苦痛になってしまいました。そしてそのまま音信不通状態になってしまいました。

研究者を途中でドロップアウトしたダメな私らしいなと思うとともに、BioMedサーカス.com編集部および私の連載記事を読んでくださっていた読者の皆様には申し訳ない気持ちでいっぱいです。本当にすみませんでした。

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実は、連載をほったらかしにしている間も、時々BioMedサーカス.comのサイトやTwitterを眺めることがありました。この連載の最後の方では株や仮想通貨にも手を出していたのですが、連載を放置したタイミングが仮想通貨の大暴落と時期が重なっていたので、私の安否を気にするコメントがあったのも目にしました。

株や仮想通貨も、正直言いますとそんなに興味があるというわけではありませんでした。当時の煽りアフィ界隈で盛り上がっていたという理由から少し手を出しただけでした。結局、連載をほったらかしにしたあたりから、株や仮想通貨の口座も完全に放置することになりました。

本記事を書くにあたり、私の株・仮想通貨の状況も報告しないといけないなということで先ほど久しぶりに自分の口座を確認しました。その結果、株はプラス150万円ほど、仮想通貨はマイナス100万円ほどという数字になっていました。株および仮想通貨で合計500万円ほど口座に入金していましたので、今の株・仮想通貨の合計評価額は550万円ほどということになります。

4年で50万円稼いだ(?)という数字がどういう意味を持つのか判断に苦しむところではありますが、先ほど申しましたように、アフィでの稼ぎ(?)は1万円弱です。わかっていたことではありますが、アフィなんかやらず普通に働いた方がずっと割がいいですよね。

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さて、特にオチもなにもないのですが、結論としては、私は研究者としても生計が立てられず、かといって煽り文章によるアフィでも生計は立てられなかったということになります。ただ、幸いなことに、今は新しい仕事で新しい仲間たちと楽しい毎日を過ごしており、家族との時間も大切にできています(コロナ禍ではありますが)。研究者をしていたときよりも、確実に人間らしく幸せに暮らせています。

ですが、だからといって、真面目に研究をしている方をいたずらに貶める気持ちは全くありません。むしろ、研究職をドロップアウトした身だからこそ、正直に研究を頑張っている人が報われるようになればいいなと思っています。

最後になりましたが、BioMedサーカス.com編集部および読者の皆様に心からのお詫びとお礼を申し上げます。皆様の研究活動が順調にいくことを陰ながら応援しております。


執筆者:元研究者

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