生成AIが書いたバイオ系短編小説集



生成AIが書いたバイオ系短編小説集

氷河期世代の冗談は寒い

アメリカ中西部の大学町。
 秋風が冷たく、落ち葉が駐車場をカラカラと転がっていた。

この物語お主人公は佐藤和夫、四十七歳。
 日本の「就職氷河期世代」ど真ん中だ。大学を出たあとも研究の道を選び続け、気づけばアメリカの某州立大学で、バイオ系のポスドクをしていた。

専門は「マウスの腸内細菌とストレスの関係」。
 つまり、ネズミのお腹の中の菌を調べて、「ストレスがかかると、う◯ちが変わる」ことを確かめる研究である。

給料は年収六万ドル弱。物価の上がったアメリカでは、家賃と食費と車の保険を払えば、手元にはほとんど残らない。
 日本の友人たちはそれなりに安定した職に就き、子供を育てている。それなのに和夫は、いつか「PI(研究室主宰者)」になる日を夢見ながら、今日も実験室でピペットを握っていた。

***

ある朝。

「カズ! 昨日のマウスの糞サンプル、どうなった?」

ボスのドクター・トンプソンが叫んだ。太った中年男で、いつもコーヒーを片手に、いつも機嫌が悪い。

和夫は実験ノートを開いた。

「えーと……サンプルは取れました。ただ、マウスが一匹逃げまして。ケージを置いていたデスクの上をウロウロしているところを捕まえて無理やりケージに戻したので、ストレス値はかなり高くなっていると思われます」

「逃げた? どうやって?」

「蓋の隙間からです。それで、そのマウスがケージの横に置いていた私の実験ノートに……ちょっとしたメッセージを残していきました」

ボスが顔をしかめた。
 「メッセージ?」

和夫はノートを差し出した。
 そこには、マウスの小さな足跡が、几帳面に「F U」と並んでいた。おそらく偶然である。

ボスはしばらく沈黙し、それから静かに言った。

「……君、もう少し真面目にやれ」

***

その日の昼休み、和夫は日本の同級生たちとLINEのグループでやりとりをした。

同級生A「俺、今年やっと課長になったよ。子供ももう中学生でさ」
 同級生B「俺は転職して年収上がった。和夫はどう? まだアメリカ?こっちは夜だけど、そっちは昼かな?」
 和夫「うん。今、マウスのう◯ちを遠心分離してる」

既読はすぐについた。だが、しばらく返信は来なかった。

数分後。

同級生A「……まあ、夢を追いかけてるってことだよな」

和夫はスマホを伏せ、実験室の窓から外を眺めた。
 駐車場には、自分の古い日本車が止まっている。車の登録更新は来月。ビザの更新は来年。論文は、まだアクセプトされない。

***

夕方、実験が一段落すると、和夫は近所のスーパーで値引きシールの貼られたフランスパンを買った。

レジに並んでいると、たまたまそこを通りがかった隣のラボの日本人の若い大学院生が話しかけてきた。

「ポスドクって、楽しいですか?」

和夫は真剣な顔で答えた。

「楽しいよ。毎日が冒険だ。今日もマウスに『F U』って言われたし」

大学院生は微妙な笑顔を浮かべ、会釈をして去っていった。

***

夜。狭いアパートでフランスパンをかじりながら、和夫はふと思った。

――氷河期世代って、氷河みたいに動けない世代って意味だよな。
 でも、アメリカに来たら氷河が溶けて、ただの水たまりになっただけだった……。

そして彼は笑った。本気で、腹を抱えて笑った。

なぜなら、明日もまた、マウスのう◯ちを遠心分離しなければならないからだ。
 そしてあのマウスは、きっとまた逃げ出して、ノートに何か書いていくのだろう。

和夫は、スマホの待ち受けにしている実験マウスの写真に向かって、フランスパンの欠片を掲げた。

「お前ら、俺の将来を食い潰してるな。でも、まあ……俺たち、同じケージの住人だよ」

***

翌日、実験室。

「カズ! 昨日のサンプル、結局どうなった!」

ボスの声が響く。
 和夫はノートを開き、穏やかに答えた。

「マウスがまた逃げました。今度は『LOL』と書いてありました」

ボスの顔が凍りついた。
 和夫は心の中で、小さくガッツポーズをした。

氷河は溶けて、水たまりになった。
 それでも、笑いだけは凍らないらしい。

――おしまい。


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