海外ラボリポート
Tweet高尾大輔 博士 〜米国ミシガン大学から(2016年2月10日更新)
考えておくべきこと
留学先を選ぶ際に留意しておくべきことの一つに、給料のことがあります。自分でフェローシップを獲得するのか、留学先のグラントで雇ってもらうのかということです。
PIによって方針は様々なので、面接等の過程でしっかり話し合って、ある程度計画を固めておくことが後々重要になると思います。特に、「フェローシップを獲得できたら受け入れてもいい」というケースでは、フェローシップが切れてしまった場合にどうするのかを話し合っておくべきだと思います。最悪の場合、かなり厳しい状況に陥る可能性もあります。そういったリスクを念頭に置いた上で、やりたいことや研究環境などを総合的に考えて留学先を決定すべきだと思います。
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最後に、海外に出る時期についてですが、これはとにかく早いほうが良いと思います。できれば学位取得後すぐ、もっと言うと大学院生のときから海外に出るのが良いと個人的には思います。ポスドクに関して、アメリカではライフサイエンス系のメジャーなフェローシップやグラントには学位取得後何年以内といった応募資格の制限がある場合が多く、学位取得から4〜5年も経つと応募できるものがかなり減ります。これは収入源の確保という点に加えて、外部資金の獲得実績や申請書を書く訓練という点でキャリアパスにも影響してきます。
また、日本で次のポジションを探す場合にも、日本のグラントやポジションの公募には同様に年齢制限や学位取得後の年数制限があることが多いです。早い時期から海外に出ていたほうが、そのまま残るにしても帰国するにしても選択肢が多く、進路を考える時間的余裕も大きいと思います。
ただし、出遅れたとしても、それだけを理由に海外に出るのを思いとどまる必要はないとも思います。私は日本で4年近くポスドクをした後に渡米しました。上述したキャリアパスの面で多少のマイナスを感じていますが、それを差し引いても余りある貴重な経験を積むことができました。海外で生活し研究した経験で得たものは本当に大きいです。運の要素、自分ではどうにもならない要素もありますが、それはどこにいても同じです。後悔しない決断をすることが最も重要だと思います。
執筆者:高尾大輔
所属:ミシガン大学