知られざる研究者の生態
Tweet第21回(更新日:2011年8月12日)
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私マトンの所属する研究チームはチームリーダーAさんのもと、複数のプロジェクトを抱えています。その中にはチームリーダーAさんのお気に入りのプロジェクトもあれば、そうでないプロジェクトもあります。お気に入りのプロジェクトとは、チームリーダーAさんの上司が力を入れているプロジェクトとほぼ同義なんですけどね。まあTHE・風見鶏ですし(第14回を参照) 。
以下は週に1回行われるグループミーティングの様子です。同期のB君が行った実験がチームリーダーAさんの期待に反してネガティブなデータを出してしまいました。参加者はチームメンバーだけで、チームリーダーAさんの上司など偉い人はいません。あくまで内輪の会議です。ちなみに、B君が行った実験はチームリーダーAさんのお気に入りのプロジェクトに関するものです。
B君『ということで、○○の作用は確認できませんでした。』
チームリーダーAさん『それは本当?本当にきちんと実験したの?』
B君『はい。対象群も入れましたし、実験系は大丈夫だと思います。』
チームリーダーAさん『思うじゃ困るんだよね〜。君たちは研究者でしょ。客観的な事実が大事なんだよ。「思う」とかっていう主観的な態度は良くないな。』
B君『・・・すみません。』
チームリーダーAさん『この実験はポジティブな結果が得られないと困るんだよ。今回のは失敗ということで、もう一回やってくれるかな?』
B君『はい。もう一回やってみます。でも、同じ条件で実験をすると、同じ結果が出てしまいそうですが・・・』
チームリーダーAさん『そこをね、なんとかね、ポジティブなデータに見えるようにするのが大事なんだよ。ちょこちょこっとね。わかるかな?』
B君『それは捏造っぽくなるような・・・』
チームリーダーAさん『全然違うよ!何言ってるの?捏造を指示してるなんて人聞きが悪いよ。そんなこと上の人とかに言ったら、君の会社人生は終わるよ。』
一同『・・・』
チームリーダーAさん『あ、いや、冗談だよ冗談。ほら、今の台詞ってテレビニュースとかで良く流れてるじゃん。「今のはオフレコだから」とか「報道したらその社は終わりだから」とか。あくまでも冗談だから。いや、B君は頑張ってるよ。上の人も認めてるし、大丈夫だよ。じゃあ次のプロジェクトについて話そうか。あ、でも、このことは上の人や他のチームには内緒だよ。』
・・・改めて文章にしてみると、チームリーダーAさんは凄いことを言ってますね。