知られざる研究者の生態



第80回(更新日:2013年7月11日)

仕事内容

マトンです。国内の某企業でチームリーダーAさん率いる研究チームで楽しく実験をしています。

この研究チーム、最近では抱えている研究プロジェクトがことごとく暗礁に乗り上げてしまい、チーム内会議では時に殺伐とした空気が流れることがあります。この日も中堅社員で実質的に現場の柱となっているKさんが、チームリーダーAさんの曖昧かつ適当なプロジェクト・マネージメントについて激しく質問していました。

Kさん『ですから、このグループの研究プロジェクトはどれも迷走してるんですよ。今後どう進めるつもりなんですか?』

Aさん『そんなのは皆さんの実験結果次第ですよ。結果が出ないと私だって指示を出せませんよ。』

Kさん『結果ならたくさんあるじゃないですか。みんな毎日朝から晩まで実験しつづけてるんですよ。結果なんてデータ整理が追いつかないくらいあるじゃないですか。それなのに、あの実験もしろ、この実験もしろ、じゃ困るんですよ。』

Aさん『じゃあ、どうすればいいんですか?』

Kさん『それを聞きたいのは僕らの方ですよ。Aさんはこのチームの全てのプロジェクトの責任者ですよね。今後どういう方向に各プロジェクトを進めるとか、どうやってメンバーのリソースを分担するとか、ちゃんと考えてるんですか?』

Aさん『考えてますよ!(語気を強めて)』

Kさん『考えてないですよ。僕が何回この質問をしてもまともに答えてくれないじゃないですか。きちんと仕事してくださいよ。』

Aさん『僕が仕事してないって言いたいんですか!私は色々仕事してるんですよ!!(怒声まじりに)』

Kさん『じゃあ、どんな仕事してるんですか?』

Aさん『色々ですよ』

Kさん『具体的に言ってくださいよ』

Aさん『み、皆さんのデータを部長に伝えたり・・・(小声で)』

Kさん『それだけですか?』

Aさん『違いますよ!私は皆さんが帰ったあとも夜遅くまで会社にいるんですから』

Kさん『夜遅くまで何してるんですか?部長は夜遅くまでこの建物にいないですよね』

Aさん『あ、あなた達の有給申請の手続きとかも確認してるんですよ』

Kさん『今は研究プロジェクトの話をしてるんです』

Aさん『だ、だから・・・ほ、報告書だって読んでるですよ。このグループはメンバーが多いから毎月皆さんから送られてくる報告書の数だって多いんですよ!』

Kさん『読んだ後はどうしてるんですか?』

Aさん『もちろん部長に転送してるんですよ!』

・・・風見鶏だと思ってたけど伝書鳩になってました(第14回を参照)

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