医学生物学系のPh.D.研究者として企業で生き抜く方法



第10回(更新日:2012年10月5日)

外部との人脈を意識して保つ 1ページ目/全2ページ

医学生物学系で博士号を取得して日本的な企業に就職すると、そこには色々な難関が待ち構えています。せっかく長年に渡り高等教育を受けてきた人材を、なぜ日本の企業はむざむざ無駄にするのか理解に苦しむところです。しかし、現実問題として日本では博士社員が暮らしにくいことは事実です。

そういったことなどの日本的会社にある特殊事情を鑑み、本連載では「目立たない社員」として平穏に定年まで生活することも悪くない選択肢であるとご紹介してきました。しかし、何事にもメリット・デメリットがあるように、「目立たない社員」として生きていくことにも思わぬ落とし穴があります。その一つである研究能力の低下は前回お伝えしましたので、今回はもう一つのリスクである人脈の断絶について詳しく見ていくことにします。

世界的な標準とは異なり、日本的な会社に長く居続けると会社こそが世界だと思うようになってくる人が多く出てきます。特に大企業と呼ばれる会社にその傾向が強く見られます。会社で働いている人ならば、会社内での序列が絶対的で会社内での交流だけで生きていく人が周りに何人もいるのではないでしょうか。余計なお世話なのですが、そういう人はそこの会社の社員であるという「身分」がなくなったら、どうやって生きていくのか不思議でなりません。

このことは研究職として働いている人たちにも当然当てはまります。そして、ひたすら偉くなろうとする人同様に、「目立たない社員」を目指す人も社内の自分の立ち位置を把握することが重要なので、気づかない間に社内での人間関係にしか興味を持てなくなってしまう恐れがあります。そして、いつの日か会社外との交流が極端に少なくなり、仮にあったとしても「○○社の社員」としての付き合いしかないようになってしまいます。

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