医学生物学系のPh.D.研究者として企業で生き抜く方法



第10回(更新日:2012年10月5日)

外部との人脈を意識して保つ 2ページ目/全2ページ

言うまでもありませんが、これは危険なことです。私は「目立たない社員」として定年まで平穏に暮らすという選択肢をお勧めはしていますが、何も博士社員に「研究者」を辞めるべきとまでは言っていません。

前回も少しお伝えしましたが、研究能力を保つためには、積極的に研究の動向を探っていく必要があります。それと同じように、人脈(特に社外)も積極的に保つ(必要があれば新たに開拓)べきなのです。長年会社にいると、「社外との人脈なんて充分あるからいいよ、今日も会社外との人と会議だし」などと得意気に言う人が出てきますが、それは果たして○○社の社員であるという看板がなくなっても通用する人脈なのでしょうか?

または、「会社の仕事で忙しくて社外の人と交流する暇なんてないよ」という人もいるかもしれません。しかし、少し考えてください。「目立たない社員」として生きていれば、それほど長く会社に拘束される必要性が減ってきます。そうすると多少は時間に自由が出来ます。そうして獲得した時間で外との交流を深めるのです。

 外との交流のために、初めは「○○社の社員」という看板を使うのは効果的です。しかし、いったん交流が深まったら、次は「○○の分野で研究をしている博士」として自分を知ってもらうように試みるべきです。そうすれば、自分を一人の独立した研究者として見てくれる相手との人脈が出来上がってきます。そして、それは今後のあなたの人生にとって無駄にはならないことなのです。

ここまで読んできて多くの人は、どうすれば外の人脈を構築できるのか?また、なぜ外との人脈を構築しなければいけないのか?といった疑問を持っているかもしれません。これらの疑問は次回から詳しく紹介していきます。

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執筆者:川口隆史

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