米国グリーンカード取得の体験談
Tweet第3回(更新日:2013年8月29日)
弁護士への依頼あれこれ
グリーンカードを申請するとき、多くの人は弁護士を雇って諸々の書類作成などを代理で行ってもらうことになると思います。そこで今回は、弁護士へ依頼するときに留意しておくと良いことをご紹介します。
***申請にかかる費用について***
グリーンカードを取得するには、通常は合計数千ドルかかります。費用は主に、移民局に支払う申請費と弁護士に支払う報酬で、その他雑費もかかります。移民局に支払う申請費は約1500ドル(独身の場合)で、雑費の主なものは、指定医のもとでの健康診断($500ぐらい)となります。
弁護士費用はピンキリですが、最低でも3000ドルはかかってしまいます。また、家族がいるとその分だけ金額があがります。ちなみに私のケースでは、夫婦2人で合計$9000ぐらいかかりました。内訳は、弁護士費用6000ドルで、申請費2500ドルです。
ただ、知り合いの中国人にこの金額を伝えたところ、そんな高い弁護士に頼んだの?と呆れられたので、頑張って探せばもっと安い弁護士が見つかったのかもしれません。
***弁護士の選び方について***
それでは弁護士はどうやって探せばよいのでしょうか?最も簡単なのは、最近グリーンカードを取った知人に、その人が使った弁護士を紹介してもらうことだと思います。他には、勤め先の大学や研究所が提携している弁護士がいるかどうか聞いてみるのも悪くない方法かもしれません。
そういった手法が取れない場合は、immigrationに強い弁護士をインターネットで検索することになると思います。その場合は、候補となる弁護士を何人かリストアップし、それら弁護士にメールや電話で問い合わせをしてみることが必要です。
一般には、すぐに返答が来てCV(履歴書)を送るように言われるので、CV(予め用意しておきましょう)を送りましょう。このとき、こちらからの問い合わせに、すぐ返事をしない弁護士はリストから外したほうがいいです。
さて、雇う弁護士を決めるために、メールや電話での問い合わせの初期段階で自分の疑問点は全て質問しましょう。最低限、以下の項目は確実に聞いておきましょう。
a) どのカテゴリ(前回を参照)で申請するのがいいと思うか
b) 成功確率はどのぐらいか(数字で言ってくれることはまずないが、いけそうかどうか、ぐらいは言ってくれる)
c) 弁護士費用はいくらで、いつ払うのか
d) その弁護士がグリーンカード申請にどのぐらいの経験があるか(これまで何件ぐらい引き受けて何件実際取れたか、年何件ぐらい申請しているか)
場合によっては、弁護士のオフィスに直接出向いて話をしてみることも必要です。意外と弁護士によって言うことが違うので、驚くかもしれませんん(私は驚きました・・・)。
その他、弁護士を選ぶ際にチェックするべき点には以下のようなものがあります。
・弁護士費用の額や支払う時期
始めから合計金額が決まっている方が望ましいです。契約した後で「やっぱりこれこれの費用が必要」とか言ってきたりする恐れのある不明瞭会計はトラブルのもとです。ただし、明瞭会計であっても相場より極端に安いのは何かが怪しいと考えた方が無難です。また、支払い方法も、月々いくらずつで全額払い終わるまで、とか、手付金がいくらで○○の段階まできたらいくら、など契約前に明らかにしておく必要があります。最初に全額一括などというのはおかしいので、そういう弁護士は避けましょう。
・必要なsupporting letterの数
NIWカテゴリーで申請する場合、同じ分野の“面識のない”研究者からのsupporting letterも必要となります。しかし、このレターが何通必要かについては弁護士によって考え方が違います。私が問い合わせした弁護士では、必要な数が4通から8通までと開きがありました。8通集めるのは結構大変です。そのため、4通で済めば自分の労力をだいぶ節約できるのですが、その弁護士に十分な経験があって、これまでに4通で何件もグリーンカードが取れてきたという実績があるかを確認しましょう。私が聞いた話では、契約した後で(申請書類を作成している段階で)、追加で○○通のレターが必要です、と弁護士に言われたという例もあったようです。
・どのような業績がアピールになるか
論文の筆頭著者でなくても共著者であれば同等のアピールになるという弁護士がいる一方で、やはり筆頭著者の論文が断然強いと言った弁護士もいました。また、その他の種類の業績(フェローシップ、グラント、特許、研究成果の報道実績など)についても、弁護士によって考え方は違うようです。自分の売り、例えばもし自分が特許を持っているのであれば、これまでに特許を前面に押し出したグリーンカードの申請を手がけてきた弁護士に依頼する方が心強いと思います。
ちなみに私の場合、4つの弁護士オフィスに実際に出向いて話をし、上で記したようなことを聞いた上で、1人を選びました。
次回は、グリーンカードを申請するに当たり必要な業績はどのようなものか、について少し掘り下げてみようと思います。
執筆者:グリーンカードを保持している日本人研究者@アメリカ
(注:本連載はあくまでも一般個人の体験談です。当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、BioMedサーカス.com及び著者は一切の責任を負いかねます。)