教授と僕の研究人生相談所



第15回(更新日:2014年2月24日)

君には他人を助ける余裕があるのか? 1ページ目/全2ページ

僕「早速ですが教授、STAP細胞が捏造っぽいって聞きました?」

教授「論文に不自然な画像があったのは知っている。だが、公の場で『あの論文は捏造だ』というのは控えた方がいいぞ」

僕「え、どういう意味ですか?」

教授「いいか、他人の論文を捏造だというのは、あいつは詐欺師だというのと同じだ。詐欺ってのは犯罪だから、極端なことを言えば、その論文の著者達に向かってお前らは犯罪者だと言うのと同じだ。しかもだ、peer-reviewシステムのある雑誌に掲載された論文の場合は、その出版社やpeer-reviewを引き受けた研究者たちに対しても、お前らの目は節穴だと言ってるようなものになる」

僕「はぁ・・・」

教授「もちろん、捏造論文は捏造した研究者や研究グループが悪い。だから、非難されてしかるべきだ。だが、捏造っぽいかなという段階なのに、あの論文は捏造だと声高に叫ぶのは止めた方がいい」

僕「相手に失礼になりますからね」

教授「は?相手のことなんてどうでもいい。俺は君のことを心配して言ってるんだ。いいか、公の場で相手のことを犯罪者だと非難するということは、ある意味で戦いを仕掛けているのと同じだ。当然、戦いをしかけられた方は反撃してくる可能性が高い」

僕「でも、捏造論文の場合、捏造だったら相手は反撃できないんじゃないですか?」

教授「はっきりと捏造だと判明していればな。だが、捏造かもという段階で、あれは捏造だと言ってしまい、後にそれが捏造でなかったらどうする?それこそ大変だぞ。無駄に敵を作ったり恨みを買ったりする必要はない」

僕「はい、すみませんでした。ご助言どうもありがとうございました」

教授「そういう下世話な話は飲み屋でグダグダやればいいんだ」

僕「でも、ここ飲み屋ですけど」

教授「ふん、この飲み屋での会話をネットに記事として出すんだろ。一緒だよ」

僕「はい、そうでした。そういえば、今回のSTAP細胞の捏造騒ぎですが、一部、別の分野の研究者やサイエンスライターが疑惑の追求をしようとしたものの、何か的外れだったり、途中で逃げ腰になったりでグダグダになったようです」

教授「何事も中途半端に物事をかじってる自称上級者ってのが一番危険だからな。まあどこの世界にもアホはいる。ん?サイエンスライター?もしかして・・・」

僕「はい、以前の教授の発言に異議を唱えた人です」

教授「さて、じゃあ話を変えるか。ここ最近は読者の相談に全然答えていないな。そんなんでいいのか?」

僕「えっと、BioMedサーカス.comの編集部の方は『内容は何でもいいです』と言ってくださっています。でも、『教授の相談への回答もいつも楽しみにしています』とも言っています」

教授「君は発言の真意を読み取ってないな。その発言を意訳すると、『相談が来ないときは仕方ないけど、相談が来てるときはきちんと相談に答えろ』ということになるんだ。そもそも、この連載のタイトルは『研究人生相談所』だろ。今はまだ相談を送ってくれる人がいるかもしれないが、毎回毎回適当にダラダラと文章を書いていると、そのうちみんなから見捨てられるぞ。まあ、そうなったら連載が打ち切りになるだけだから、そっちの方が俺にとっては有り難いかもしれないがな」

僕「重ね重ね申し訳ないです。では今回はぜひ読者の相談に答えてください。今のところ4つあります。一応、全て印刷してきたので、目を通してくれますか」

教授「ふむ、じゃあ今回はこれにするか」

僕「これから海外でラボを主宰することになったので何かアドバイスを、というものですね」

教授「どこの国でラボを主宰するかは書いていないが、いずれにしろこの時代に海外で自分のラボを持つというのは賞賛に値する。まずはおめでとうと言いたい。だが驚いたな」

僕「海外でラボを持つ日本人が現れたことですか?」

教授「違う。確かに今は日本を含めて新たに自分のラボを持つことは難しい環境だ。だが、それでも海外でラボを持つ日本人はそれなりにいるんだ。俺が驚いたのは、そういう研究者がこの連載を読んでいるということだ」

僕「そんな堂々と自虐的な発言をしないでください。この連載、多分きっと僕らが思っている以上に多くの人に読まれているんですよ」

教授「『多分』とか『きっと』とか、まったく科学的根拠のない発言だな。まあ良い。それではこの人にアドバイスをしてあげよう」

僕「よろしくお願いします」

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