教授と僕の研究人生相談所



第24回(更新日:2014年6月30日)

アカデミアに未練のある奴の言動はまるでストーカー行為だ 1ページ目/全2ページ

教授「今日は時間がないから手短にいくぞ」

僕「はい。お忙しいのにいつもすみません」

教授「相談メールは印刷してきたか?」

僕「はい。これです(印刷したものを並べる)」

教授「こんなにあるのか・・・」

僕「えぇ、ありがたいことに、何か最近は特に相談をいただくペースが増えてきました」

教授「ふむ、では今日はこれとこれにするか」

僕「え、二つも答えていただけるんですか?教授のお時間は大丈夫ですか?」

教授「相談をもらってから時間が経ちすぎるのも失礼だろう。それに、この二つの相談の根底にあるのは同じ問題だからな」

僕「え、そうなんですか?こっちは、30代のポスドクさんからの相談で、アカデミアに残れそうにないので、いっそ研究という道ではなく全く別の道を探そうかと思ってるけど何かアドバイスを、ということですよね。でも、こちらは、企業の研究職に就いてる方なのですが、上司がアカデミアの文句ばかり言ってウンザリしてるということです。この二つは共通点があるんですか?」

教授「大アリだね。まず最初の方から見ていくぞ。この相談者へのアドバイスは簡単だ。アカデミアを去った後に『アカデミアに残れなかった』もしくは『自分は失敗した/自分は成功できなかった』とは考えないようにすればいい。それだけだ」

僕「え、それだけですか?」

教授「それだけだ。だがな、このアドバイスは口にするのは簡単だが、それを実践するのは難しい。今アカデミアにいる奴、それに、それを目指そうとしている学生らは、ある意味で洗脳されているんだ」

僕「洗脳?どんな内容のですか?」

教授「小中高と学校のお勉強で良い成績を取り、東大や京大なんかの有名大学に進んで、そのままアカデミアで助教、准教授、教授とステップアップして行くというのが成功パターンだと思わされている」

僕「まあ確かに。でも、僕の周りでは必ずしもそんな感じではないようにも思いますが」

教授「それならそれでいいと思う。だがな、人が必ずしも本心を口にしてるわけではないということは忘れてはいけない。君の周りがどうかは知らんが、口では『アカデミアなんて』と言っておきながら、心の中ではアカデミアへの気持ちが強い奴が多かったりする。アカデミアに残りたいけど、難しそうだからということで、『自分はアカデミアに興味がない』と言い聞かせてるタイプの奴は、これまでに何人も見てきた」

僕「酸っぱいブドウですか?」

教授「お、君にしては珍しく良い例えが出て来たな」

僕「恐縮です」

教授「今の日本の教育システムでは、お勉強が出来る良い子ちゃんは、小中高だけでなく大学・大学院・ポスドク先までもが、綺麗に整えられたエリート的レールの上を走ることになる。それでな、そのレールの上を走ってると、いつの間にか『アカデミアでの研究>>会社の研究』という考え方に洗脳されてくるんだ」

僕「何故ですか?」

教授「大学に進んで院まで行ける人間は、親とか先生の言う事を良く聞いて実践できる優等生がほとんどだ。で、大学や大学院で学生に教える立場の奴は、アカデミアという狭い環境でしか生きたことがない。そいつらは『アカデミア=エリート』という誤った教えを忠実に守って頑張って今の地位をゲットした。だから、そういった価値観を信じきってる奴らが多いんだ。そんな価値観の奴らに教わっていれば、優等生の良い子ちゃんが『アカデミアでの研究>>会社の研究』という考え方に洗脳されるのも無理はない」

僕「でも、そうならない学生もいますよね」

教授「もちろんだ。だが、『アカデミアでの研究>>会社の研究』という考え方に疑問を呈し、学生時代の頃から会社での研究に進むことを考えたり、それこそ研究職というものに興味がなくなってしまった学生は、周りからは『落ちこぼれ』の烙印を押されてしまうことが多い」

僕「なるほど」

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