教授と僕の研究人生相談所



第25回(更新日:2014年7月14日)

会社では頑張っていれば誰かが「見て」いてくれる 1ページ目/全2ページ

僕「今回もよろしくお願いします」

教授「じゃあ、どの相談に答えるか決めるか」

僕「えっと、前回の続きからお願いできますか?」

教授「前回?」

僕「・・・やっぱり覚えていないんですね。前回は、こちら(30代のポスドクの方)とこちら(企業の研究職の方)の相談に乗っていただいてたんですが、こっちの方(後者)の相談の途中で時間切れで終わってしまったんです。で、これが前回の原稿です」

教授「思い出したぞ」

僕「ホントですか?良かったです」

教授「この間、君とこの話をした後の会議で、○○がまたアホなことを言い出し始めて会議が長引いたんだ。あいつは、本質とは関係ないどうでもいいことばかり気にするんだ。というか○○はいつもAという議題なのにBについて話し始めたりするんだ。思い出したらまたムカムカしてきたぞ」

僕「あの・・・」

教授「なんで、○○があんな職にまでなれたのか理解に苦しむね。人事なんてのは、どこの世界でも曖昧な尺度で決められてるから仕方ないとは言え、ああいう無能が周囲に影響力を及ぼせる職まで登ると組織が腐る。この学部の将来は暗いな」

僕「あの・・・、その教授の発言、あまりに内輪ネタすぎて読者にとっては全く意味がわからないと思うんですが、そろそろ相談の方に移っていただいてもよろしいでしょうか」

教授「ふん、アカデミアに未練のある上司がアカデミアをバカにしてうっとおしいって相談だろ?そんな上司はストーカー気質の精神病だ。哀れんだ目で見てればいいんだ」

僕「それ、前回の結論を繰り返しただけです・・・。それだとアドバイスっぽくないってことで、今回続きをしましょうということになったんですが。あと、実は相談者の方は上司のことをアカデミアに未練があるとは一言も書いていないんですが・・・」

教授「そうか?相談メールをもう一回読むか」

僕「これです。お願いします」

教授「ふむ。改めて読むと結構事情が詳しく書かれているではないか。ま、アカデミアに未練がありそうなのは事実っぽいがな」

僕「はい、確かにアカデミアには未練がありそうです。一応、相談メールに書かれていた情報を簡単に列挙すると、その上司は... (1)アカデミアの研究者・研究体制・研究論文を常にバカにする、(2)でも上司の研究能力は低い(明らかにおかしい実験計画を立てたり会議での発言がメチャクチャ)、(3)今の会社に入社できた&偉くなった理由は上司の出身研究室・指導教官が有名だったから(あくまで相談者の推察との注釈が相談メールにあり)、(4)上司は博士号を持っているけど、上司の名前が先頭に来ている論文はPubMedで検索する限り出てこない、とのことです。これだけ情報があれば、個人を特定できてしまいそうですね・・・」

教授「(3)と(4)の両方の条件に合いそうな人間を、パッと思いつく限り俺は少なくとも5人は知っている。探せばもっと出て来そうだ。(1)と(2)の条件は客観的な指標ではないから、(3)と(4)の条件に当てはまる部下のいる人間は全て、この相談者の上司である可能性がある。だから特定は無理だろう」

僕「論文がなくても博士号を取れたり会社に就職できたり偉くなれたりするもんなんですか?」

教授「なれるよ」

僕「即答ですか・・・?」

教授「ああ、そんな質問、グデングデンに酔っぱらっていても考えるまでもなく答えられる。博士号なんてのは、そこの学部が授与すると言ったら、そいつがアホでもバカでも実験ノートの書き方がわからなくても博士論文の大半がコピペでも博士になれるんだ」

僕「・・・。でも、博士号には論文は何報必要とかってルールがあるって聞きましたけど」

教授「論文がなくても、今準備してます、すぐ投稿します、でも共著はあるんです、みたいに言えば、文句は言われない。俺はこの業界に長くいるが、博士審査のときに投稿準備中だった論文が結局どこの雑誌にも掲載されなかったとしても、それが理由で後に博士号を剥奪されたという話は聞かない」

僕「とすれば、博士号は一回授与されてしまえば、半永久的に所持できると?」

教授「そうなる。その博士論文に余程の酷いことがないかぎり取り消されないね」

僕「捏造とかは?」

教授「普通の、と言ってはおかしいが、世間で騒がれないレベルの捏造発覚くらいなら博士号は剥奪されないだろう」

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