教授と僕の研究人生相談所



第28回(更新日:2014年8月25日)

学生が教授に喧嘩を売っても勝ち目はない 1ページ目/全2ページ

僕「今回は延ばし延ばしになってしまっていた例の相談をお願いします」

教授「例の相談?」

僕「自分の指導教官が憎くて○してしまいたいと思うこともある、っていう例のあの相談ですよ。忘れてしまったんですか?」

教授「いや、覚えているよ。だがあの相談者の『憎い教授』は俺ではないことが確認できただろ。だから、あの話は終わったものだと思っていたが」

僕「・・・えっと、それは冗談ですよね?」

教授「ああ、冗談だ。安心したまえ。今日はきちんと相談に乗る」

僕「ありがとうございます。良かったです。この相談者の方、前回の最後に教授が『精神的に厳しくなったらお勧めのお酒リストを送るから連絡をするように』って言ったことに対して、きちんと丁寧なお返事をくださったんですよね」

教授「そうらしいな」

僕「『あと2週間くらいは大丈夫です。ありがとうございます。』みたいな感じで、教授が忙しいのに自分の相談に時間を取ってくれることを感謝しているようでした」

教授「君とは違って真面目な学生だな」

僕「・・・」

教授「何を当たり前のことで落ち込んでるんだ。早速相談に答えるぞ」

僕「・・・はい、お願いします」

教授「改めて今回の相談者の相談メールを読んだが、この相談者の指導教官であるところの教授の言動が、かなり酷いような。精神を病む一歩手前で、時々無性に○したくなることもあるけど、どうすればいいか、ってことだな」

僕「えぇ、『○したい』というのは時々ふつふつを沸き上がる感情なだけで、別に○す方法を教授に聞いてるわけではないみたいですね」

教授「そうだろうよ、俺は殺し屋じゃなくて単なるジジィだからな」

僕「そんなことないですよ。でも、今回みたいな相談者が置かれている状況って珍しいんでしょうか?ネットなんかだと、それこそ指導教官や研究室のスタッフからの精神攻撃なんかで鬱になってしまう学生やポスドクの話を良く見るんですが、実際に知り合いがそこまで追いつめられてるってのは聞かないんですけど」

教授「結論から言えば、今回の相談者が置かれているような状況は全く珍しくない。もちろん状況が悪いことは事実だし、これが普通だとまでは言わない。だが、俺の正直な感想を言えば、『よくある事』だ。この相談者が受けている状況よりも酷い話を聞いたことは何回もあるし、その結果としてかなり悲惨な結末になったという話を聞いたこともある」

僕「ということは、今回の相談者はもう少し我慢するべきだと?」

教授「どうしてそういう結論になる。君はブラック企業の経営者か?その発想は危険だぞ。自分より大変な人がいるんだから我慢しろ、というのは現在の日本人の多くがアンハッピーになってる原因の一つだと思うね」

僕「すみません・・・」

教授「ま、この相談者にとっては、自分より大変な状況で苦労している人がいるという現実を知ることで心が少し軽くなるかもしれない。だが、それは根本解決とはほど遠い」

僕「ではどうすればいいんでしょうか?」

教授「それは難しい質問だな。この手の問題は絶対的に正しい解決策というのがない。ある人間に対して正しかった方法が別の人間にとっては大間違いな方法になるということもあるからな。だが、相談者が理解しておかなければいけないのは、他人は変えられないということだ」

僕「どういう意味でしょうか?」

教授「この相談者にとって一番楽な解決方法は、『憎い教授』が心を入れ替えて相談者のことをきちんと人として扱うようになることだろう。だが、そんなことは夢物語だ。相談者が『憎い教授』を変えることは不可能だということをまず理解するべきだ。ま、○してしまえば、ある意味で今の問題は解決するがね」

僕「でも、それも不可能ですよね」

教授「そんなことはない。○すことだけなら可能だろ。その後に今と同じ生活を送れるかどうかは知らんがね」

僕「ちょっと話がずれてしまいますが、人を○して完全犯罪って可能なんでしょうか?」

教授「何だ、○したい相手がいるのか?俺じゃないだろうな」

僕「いえいえ、そういう相手はもちろんいないです。それに僕は教授を尊敬してるので、そんなこと思いませんって」

教授「そうか、恋人もいないけど○したい相手もいないってことか。ま、何にせよ俺の命を狙ってるんじゃないならいいけどな」

僕「・・・」

教授「話を戻すが、人を○して完全犯罪ってのは不可能ではないだろう。実際に迷宮入りしてる殺人事件はいくつもある」

僕「ちょっと極端で人道的・倫理的に好ましくないかもしれないですが、この相談者にとっては『憎い教授』を○して完全犯罪を狙うっていうのは、問題解決の方法の選択肢としてはありですか?それともやっぱりそういうのは論外ですか?」

教授「この種の問題で、『人を○して解決する』というのは絶対にダメだとは俺は思わない。逆恨みでなければ、他人をそこまで憎しみに駆り立てるような人間は、○されても文句は言えまい。しかも、今回のは大学の研究室という閉鎖空間で、『教授』という最高権力者が『学生』という下っ端に対して悪行を行っているんだ。そんな『教授』はいなくなっても困らない」

僕「なるほど」

教授「だがね、日本は一応は法治国家だ。そして、殺人は違法だ。だから、相手が憎いからといって、そいつを○して問題解決というのは勧められない。仮に目論みどおりに完全犯罪となって『憎い教授』がいなくなった後も平穏な生活を送れるとしてもね。ま、この相談者は真面目なようだから、人を○したら、良心の呵責を感じて平穏な生活なんて送れないと思うけどね」

僕「ではどうすれば?」

教授「合法的に○す方法がないかを考えてみるのは一つの手だ」

僕「合法的に?」

教授「別の表現を使えば社会的に抹殺する方法だな。一番手っ取り早いのはパワハラとして大学もしくは所属学部に訴えることかな」

僕「効果はありますか?」

教授「ないね」

僕「え?」

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