教授と僕の研究人生相談所



第34回(更新日:2014年12月15日)

上に媚びて気に入られるのも社会で生きるための大事な能力だ 1ページ目/全2ページ

僕「教授、今回が今年最後の記事となります」

教授「ああそう」

僕「ということで、今日は2014年を振り返ってもらってもよろしいでしょうか」

教授「断る」

僕「えー」

教授「ふん、こんなに相談メールが溜まってるのに(相談メールを印刷した用紙を見ながら)、そんなことをしてもいいのか?それに、振り返ると言っても何を振り返るんだ?」

僕「今年の出来事なんかを・・・」

教授「この1年もいつもと変わらない毎日を続けただけだった。以上」

僕「・・・出来れば研究業界を振り返ってもらえないでしょうか」

教授「そんなの知らんよ」

僕「STAP騒動は?」

教授「興味がない。が、まあ今年1年のバイオ業界では、誰が選んだとしても間違いなくトップ3に入る話題だろう」

僕「教授が選んでも?」

教授「ふむ、俺が選んだら、か。どうだろうな。3つ挙げてみるか。○○の××で飲んだ酒が上手かった、○○の××で食べた豚の薫製が上手かった、○○の××で入った温泉がよかった。STAP騒動は残念ながら入らないな」

僕「敢えて突っ込まなくてもいいですよね」

教授「うむ、突っ込まれるとこっちが恥ずかしくなるからな。スルーしたまえ」

僕「で、教授から見て一連のSTAP騒動はどうでしたか?」

教授「何回も言ってるが興味がない。どんな騒動だったかも記憶から薄れてきているよ。で、ちなみに、STAP騒動は今はどうなってるんだ?」

僕「えっと、実は僕もそんなにこの話題をフォローしてなくて・・・。でも、確か早稲田は学位の取り消しを決めたとニュースで見ました」

教授「そのニュースなら俺も見たぞ。取り消しにするが、1年の猶予を設けたんだよな」

僕「確かそうだったと思います。指導教官も何らかの処分があったんですよね」

教授「クビにはなっていなかったようだがな。他の著者達はどうなってるんだ?理研関係者以外にも国内外に共著者がいたようだが」

僕「ハーバードのバカンティ教授はサバティカルか何かで大学とは一時的に距離を置いているとニュースで見ましたが、他の人たちはどうなんでしょう。すみません、わかりません」

教授「まあ、いいよ別に。そんな情報知っても知らなくても俺には関係ないし」

僕「で、ご本人なんですが?」

教授「ご本人?ああ、あの筆頭著者の女性か。彼女は今なにをやってるんだ?」

僕「まだ理研に所属してるみたいです。でも、彼女のグループは解体で、彼女は今は単なる普通の研究員みたいです。で、STAP細胞があるかどうかの検証実験は11月末で終わって、今はその解析とのことらしいです」

教授「ふーん、そうなんだ。まあSTAP細胞なんて元から存在しなかったんだろうけどね。で、今回の相談内容は?」

僕「え、今回の相談内容?」

教授「君の連載記事だよ。2014年のバイオ業界の振り返りなんて暇なブロガー達が色々と書いてるだろうから、気になる奴はそれを見ればいいんだ。それよりも、君は君がすべきことに専念するべきじゃないかね。この連載は何とか相談所なんだろ?相談が来てるのにスルーしてはダメじゃないのか」

僕「はい、そうでした。すみません」

教授「じゃあ本題に入るぞ。今日はこれにする」

僕「某製薬会社で働いてる方からですね。修士卒で入社して7年目ということですね」

教授「そろそろ現場では中堅社員として見なされる頃だな。場所によっては係長クラスになっていてもおかしくないし、会社の色々な嫌な面なんかも見えてくる時期だな」

僕「とすると、今回の『研究能力が低いのに上に気に入られて出世している人と一緒に働くのが苦痛』というのも、そういったことと関連があるんでしょうか」

教授「まあな。この国において、学校でのお勉強が出来て大学院まで進んで、大学院で卒なく実験作業をして、そのまま大手の会社に入れるようなマトモな人間の中には、世の中はきちんとしているべきだという思い込みがいつの間にかに出来上がっていることが多い。だが、世の中はそんな綺麗なもんじゃない」

僕「『研究能力が低いのに上に気に入られて出世』と言うのは、世の中の汚い部分に入るのですね」

教授「実際は全然汚くなくて普通のことなんだが、まあ綺麗ではないな。だが、今回の相談者みたいな真面目な人間の中には、そういうのが理不尽に思えて憤りを感じることもあるらしい」

僕「あるらしい?」

教授「この手の相談やら愚痴やらは、今まで色々と聞かされてきたよ」

僕「どこでですか?」

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