教授と僕の研究人生相談所



第74回(更新日:2017年10月25日)

教授と僕のぐだぐだな日常会話 1ページ目/全2ページ

僕「教授、もう10月です」

教授「今年も残り3ヶ月か。時が経つのは早いな」

僕「時が経つのが早いのはわかりますが、僕が言わんとすることは違います。前回の記事の掲載は8月だったんです。あれからもう2ヶ月です」

教授「何を言ってるんだ。このあいだ俺は、読者からの質問について俺の考えをまとめたものを君にメールしたじゃないか。それをもとに君が連載記事を書くということになっていただろう。あれから一つも記事を書いていないのか?この怠慢ライターめ!」

僕「ぐ・・・。でも教授、お言葉ですが・・・」

教授「言い訳など聞きたくない」

僕「言い訳ではないです。反論です」

教授「お、そうか。君にしては珍しく強気だな」

僕「読者には教授が何のことを言っているのかわからないと思いますので、まずは軽くご説明しますが、教授が忙しくて僕らの連載が滞ることが予想されていたんです。で、苦肉の策として、読者からの質問に対する回答を教授が僕にメールをして、それをもとに僕が、教授と僕が会話をしたという体裁で記事を書こうということになったんです」

教授「この捏造ライターめ!」

僕「演出です」

教授「ふん。だが、君は一つも記事を書いてなかったんだよな。この怠慢捏造ライターめ!」

僕「だって教授、こんなメールじゃ記事が書けませんよ(教授からのメールを印刷したものを広げる)」

教授「なぜだ?読者からのメールに3つも答えてるじゃないか」

僕「こんなの答えになんてならないですよ。いいですか、一つ目は『世界的に研究費の獲得が難しくなってるので、クラウドファンディングのシステムを使って各々の研究者が独自に研究資金を集めるという方法もありなのかもしれない』というアイデアを持っている方からの相談です。クラウドファンディングで独自に研究資金を集めるということに対する教授のお考えを知りたいと相談者は聞いてきていたんですが、これに対して教授はなんて答えたと思います?」

教授「なんだったけ?」

僕「こういう質問があったことは覚えてます?」

教授「お、おぅ・・お、覚えているよ」

僕「ほんとですか?」

教授「覚えているといえば嘘になるが、覚えていないというわけではない」

僕「意味がわかりません」

教授「俺だって意味がわからんよ、そんな相談。『知らん』としか言えん。で、俺は君になんて書いてメールしたんだ」

僕「『知らん』という一言だけです」

教授「やっぱりそうか。ほら、俺はその質問を覚えていて、回答も以前と同じだ。なぜ、その回答で記事が書けないんだ?」

僕「書けませんよ、『知らん』の一言だけじゃ。もっと何かコメントしてくださいよ。研究費が獲得しにくい状況とか、クラウドファンディングとか、そこら辺のことを」

教授「知らんよ、そんなこと。研究費を獲得しにくくなったのは、くだらん研究をしてるくだらん研究者の数が多くなったのと、金を持ってる奴らが、そんなくだらん研究には金を出したくないと思ってるからだろ。仕方ないじゃないか」

僕「でも教授。アカデミアの研究のお金ってほとんどは国からですよね。ということは税金と言ってもいいと思うんです」

教授「企業や種々の寄付ということもなくはないがね。ま、アカデミアの研究の場合、大半は国の金だろう」

僕「なので、基礎研究をするために、個人のお金をクラウドファンディングで集めるというのは、研究費の出元を拡大するという意味でも面白いアイデアかなと思うんです」

教授「個人の金を基礎研究に使ったとして、金を出した個人はなんの得があるんだ?」

僕「えっと・・・例えば特殊な病気になっている人が、その病気を治す研究をしている人にお金を出すとか?」

教授「そんなもの、すでにそういった病気にはそれぞれ団体があって、寄付を受け付けて、その一部は基礎研究に回ってる」

僕「そう言われれば確かに・・・。でも個人のお金を基礎研究の資金にというのは面白いようにも思うんです。何かいいアイデアないですか?」

教授「君が面白いと思うなら君が考えろ。俺は面白いと思わん。バイオ系の基礎研究のために投資できるくらいの余分な金が俺にあったとしても、くだらん研究者のくだらん基礎研究には金は出さん」

僕「そんな見も蓋もない・・・。でも、くだらなくない研究者のくだらなくない基礎研究にならお金は出すんですか?」

教授「それなら個人の金を集めるまでもなく研究費は獲得できるんじゃないのか?」

僕「たしかに・・・。じゃあどうすればいいんでしょう?」

教授「女性研究者と握手できる握手券でも売って、その売り上げで研究すれば?水着に白衣とか着せたら、君はいくらでもつぎ込むんじゃないか?」

僕「また僕のイメージが下がるのでやめてください。というか、それはセクハラ発言です。大変なことになります」

教授「じゃあ男性研究者と握手できる握手券だったらいいのか?」

僕「そんなん売れません」

教授「売れるかもしれんぞ。特殊な層に」

僕「どんな層ですか?」

教授「それを口にしてもいいのか?」

僕「いえ、話がどんどんマズイ方向に進んでいるので、次の話題にいきます」

教授「次の話題?」

僕「教授が別の質問に回答した件です。この『教授にとって優秀な研究者の定義を教えてください』というものです。この質問、覚えていますか?」

教授「覚えているといえば嘘になるが、覚えていないとは言い切れない」

僕「そんな禅問答はもういいです。教授は『こんな連載を読んでない人』と書いたんです」

教授「俺もそう思う。I agreeだ」

僕「教授が書いたんだから当たり前です」

教授「ふん。で、なんでその回答で記事が書けないんだ?この無能ライターめ!」

僕「好きなだけ罵ってくれて結構です。ですけど、こんな回答じゃ書けないですよ。優秀な研究者って何ですか?」

教授「少なくとも、こんな下らん連載記事を読んでる人間じゃないことは確かだ」

僕「なぜですか?僕らの連載記事を読んでる人でも優秀な研究者はいるかもしれませんよ」

教授「いないよ」

僕「いるかもしれませんよ」

教授「じゃあ君が優秀な研究者になって俺の言っていることが違うと証明すれば?」

僕「ぐ・・・」

教授「ほら、できないだろ。やっぱり俺が正しい」

僕「それって詭弁ですし、まったく論理的に正しくないと思うんですが・・・」

教授「詭弁でもなんでもいい。言い負かした方が強い。捏造したってNatureとかに論文出した方が偉くなるだろ。それと一緒だよ」

僕「一緒じゃありませんし、それもすごい問題発言です」

教授「ふん」

僕「今、論文という話が出ましたが、『どんな論文がいいのでしょうか?』という質問も最近送られてきてるんです」

教授「最近?連載がストップしてるのに新しい相談が来てるのか?」

僕「えぇ、頻度は低いですけど。なので、このままだと相談メールが溜まりまくってしまって大変です」

教授「俺は困らんけどね」

僕「そんなこと言わないでください。でも教授、教授にとって『良い論文』ってどんなのですか?」

教授「曖昧すぎてそんな質問には答えられんね」

僕「と言いますと?」

教授「立場によって良い論文の定義が変わる」

僕「どういう意味でしょう?」

教授「物分かりの悪い無能ライターめ!」

僕「罵りはもう結構ですから、もうちょっとわかりやすく、具体的に教えてください」

教授「君は本当に動じなくなったな」

僕「お褒めのお言葉ありがとうございます。では詳しい説明をお願いします」

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