教授と僕の研究人生相談所



第74回(更新日:2017年10月25日)

教授と僕のぐだぐだな日常会話 2ページ目/全2ページ

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教授「俺にとって良い論文とは・・・」

僕「はい」

教授「学生が俺に論文原稿を持ってきたときは、手直しの必要がないもの」

僕「・・・」

教授「俺が発表した論文の中での良い論文とは、みんながその価値を実際以上に評価してくれて研究費の獲得に繋がるもの」

僕「・・・」

教授「査読者の立場としての良い論文とは、査読コメントが書きやすいわかりやすい論文原稿」

僕「・・・」

教授「編集者の立場としての良い論文とは、査読者によって評価が分かれなくて掲載可否の判断が簡単なもの」

僕「・・・」

教授「一研究者として良い論文とは、読んでいて眠くならないもの」

僕「・・・その回答でどうやって僕らの連載記事を書けばいいんでしょう?」

教授「知らん」

僕「・・・。ちなみに、このリスト(教授が相談メールに回答をして僕に送ってきたもの)には『教授と僕の関係について詳しく教えてください』という質問もあったんですが、教授はそれになんて答えて僕にメールしたか覚えていますか?」

教授「そんな質問あったか?」

僕「覚えていないんですね」

教授「ま、覚えていると言ったら嘘になるかな。だが、ひょっとするとストーカーの被害者と加害者の関係とか書いたりしたか?」

僕「違います。イヤホンとサンダルの関係って書いてありました」

教授「どういう意味だ?」

僕「わかりません」

教授「そうか。じゃあ、仕方ないな。俺にも意味がわからん」

僕「・・・」

教授「で、他にも答える質問はあるのかね?」

僕「え、今の相談というか質問メールに対するコメントはそれだけですか?」

教授「君と俺との関係なんてミジンコとゾウリムシみたいな関係だろ。もうそれでいいじゃないか」

僕「ミジンコとゾウリムシの関係ってどういう意味ですか?」

教授「知らん。前にどこかで読んだ何かの本でそういうセリフがあった」

僕「どういう本なのですか?」

教授「覚えていない」

僕「教授、こんなダラダラした会話だと僕らの連載の記事が書けません」

教授「それを何とかするのが君の仕事だろ、このインチキ無能ライターめ!」

僕「ぐ・・・」

教授「今日は4つも相談に答えた。だから今日の会話だけで君は4つの記事が書けるはずだ。頑張りなさい」

僕「でも教授、久しぶりの更新になるので、読者にとって『勉強になった』とか『読んでよかった』とか『これは知って嬉しい』とかというような情報を何かお願いできませんか?」

教授「君の本の2冊目が売れてないので買ってくださいって書けば?そうしたら『ドヤ顔で本出したのに売れてねーの。この連載の作者ざまぁwww。研究もしないでくだらねー連載なんかやってるからだよ』って思って読者が喜ぶんじゃないか?」

僕「そういうの、地味に傷つくのでやめてください」

教授「そうか。じゃあ、本の繋がりで、君の連載が掲載されてる媒体が最近出した本についてコメントをしようか?なんてタイトルの本だったっけ?」

僕「えっと・・・『届かなかった青空』ですか?」

教授「それだ」

僕「え、その本、教授は読んだんですか?だって、編集部からその本の帯に書くコメントをお願いできませんか?ってゲラ刷りが送られてきたとき、教授は面倒だから嫌だって断ったんですよね」

教授「そうだったかな?」

僕「そうですよ。で、一言でもいいですので、と言われたら、『作者は運が悪かったね、ご愁傷様』とだけコメントしたんですよね・・・」

教授「そうだったっけか?」

僕「そうですよ。編集部の人、それでよく怒らなかったですよね。僕、メールのやり取りしてて結構ヒヤヒヤしたんです」

教授「本当は激怒してるかもよ」

僕「そんな怖いこと言わないでください」

教授「まあいい。この連載で自発的にその本のことに触れれば本の広告にもなるし編集部は喜ぶだろ。だから、あの本を実際に読んだ俺が正直な感想を言ってやろう」

僕「どんなですか?ひょっとして駄作だから買わなくてもいいとか言わないですよね」

教授「駄作じゃないよ。あの本は面白かった。少なくとも君の本よりも面白い。君の本を買うくらいならそっちの本を買うべきだね」

僕「ぐ・・・」

教授「で、君の本は250円だが、そっちの本はいくらだ?」

僕「えっと、同じ値段だと思います。250円です」

教授「え、そうなのか?あのボリュームで同じ?そりゃお得だな。君の本を買うよりずっと意義のあるお金の使い方だ」

僕「あの・・・それって『届かなかった青空』の広告というよりは僕らの本をディスってるだけの気がするのですが・・・」

教授「インチキ無能ライターの本なんて褒められんだろ」

僕「まあそうなんですが・・・。ところで、『届かなかった青空』のどの点が良かったのですか?」

教授「・・・え?」

僕「いえ、教授はあの本のどの点が良かったのかなと思ったんですが」

教授「えっと・・・どこだったっけ。君も読んだんだよな、君はどう思った?」

僕「僕に振らないでください。教授、本当に全部読んだんですか?」

教授「お、おぅ。読んだよ。全部読んだと言えば嘘になるが、読んでないとは言い切れない」

僕「教授、それだと全く本の広告になりません。何か購買意欲をかきたてるようなことを言ってください」

教授「嘘でもいいからその本が他人に良さそうに見えそうなことを書き連ねろというのか。やれやれ、インチキ捏造ライター様の要求は厳しいな」

僕「その発言は、編集部にも『届かなかった青空』の作者様にも失礼になります」

教授「それは誤解だ。俺は君だけをディスりたい」

僕「何ですか、その歌のタイトルになりそうなセリフは・・・。そういえば、『君だけを守りたい』って歌がありましたね。そんな感じですか?」

教授「何だそれは。意味がわからんぞ」

僕「世代の違いですかね」

教授「じじぃ扱いしおって、この若造が」

僕「教授、脱線しすぎです。そろそろ話をまとめにかからないと」

教授「そうか。ま、その『届かなかったなんちゃら』という本は面白かった。高校生や大学生・大学院生で、バイオの研究業界に興味のある人間ならば一読しておくべきだろう。この世界の汚い部分がよく見える。さっきも言ったが、あの作者は不遇だった。若さ故の過ちで間違った方向に突っ走って行ったところもあったが、途中できちんと自分の過ちに自力で気づいて、それを修復しようとした。しかし、周りの状況がその修復への努力を認めず、結果として可哀想な決断をすることになってしまった。本人は本当の意味でサイエンスが好きだったのにな。残念なことだ。ネタバレになってしまうが、そんなサイエンス好きな若者が、たった一度の失敗で研究者になれなかったというのは悲惨だ。この国は、ああいうサイエンス好きな若者が、学生のときに失敗をしたとしても研究者になれるようなサポート体制を作るべきなんじゃないかと思うね。とはいえ、現時点では、何をしてもこの国の科学分野の失墜は決まっているようなもんだから仕方ないかな。じゃ、そういうことで今日はこれで終わり」

僕「あの・・・最後にとてつもない爆弾発言があった気がするんですが・・・」

教授「気のせいだ。俺はこれから帰って寝る。サラバだ!」

僕「・・・」

執筆者:「尊敬すべき教授」と「その愛すべき学生」

*このコーナーでは「教授」への質問を大募集しています。質問内容はinfo@biomedcircus.comまでお願いいたします(役職・学年、研究分野、性別等、差し支えない程度で教えていただければ「教授」が質問に答えやすくなると思います)。

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