Nature/Scienceのニュース記事から



第1回(2011年4月23日更新)

PhDシステムの修復

PhDコースはもはやアカデミックポジションを保証する進路ではなくなっており、これについて真剣に議論する必要がある。

PhDの数を増やすことは経済の成長に必須であると考え、どの国もPhDコースを多数作ってPhDホルダーを多数輩出している。しかしながら、定員の増加とともに質の低下も起きている。また、名声の高い大学でPhDを取った人たちが、 給料の低いポスドクという身分で5年も10年も働きながら、アカデミックポジションをめぐる無情な、しかもたいてい実らない戦いに、ゆっくりと幻想から覚めつつある。PhDの数が増えたのは、政府が資金を出したからであって、決してPhDの需要が高かったからではなかった。

アカデミックポジションの数は増えていないどころかむしろ減少しているにもかかわらず、大学は今のシステムを変えようとしない。なぜなら、今のこのシステムで研究費が獲得でき、PhDコースの学生の数に応じて政府から助成金も出るからだ。

変えなければならないが、一体何を?まず最初に、政府は人材の需要と供給をマッチさせるよう、科学関連の職の中でもどのようなものが需要が高いのかをよく分析し、多くの人材が必要な分野でだけPhDコースに学生を受け入れるべきだ。

次に、PhDコースそのものを作り直すことだ。若者がPhDコースに入るときに初めの時点で指導者との間で、卒業後の就職について共通認識を持ち、そのゴールに向かって進んで行くこと。

政府は、このような変化を押し進めるために、適切な報酬を出すべき。政府や科研費を出す機関は、学生のうちどれだけがきちんとPhDコースを終えて就職できたか、などの数字を報告する義務を大学に課して、その結果に従って与える研究費の額を増減させるべき。

上記のような改革がなされるまでの間は、大学院に入学しようとする若者が自分自身の目で、卒業後の就職についてしっかり見極める必要がある。

http://www.nature.com/nature/journal/v472/n7343/full/472259b.html

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