Nature/Scienceのニュース記事から



第21回(2012年6月7日更新)

アメリカの科学技術分野の高等教育トレンド

アメリカの科学技術分野の高等教育について、アメリカ国立科学財団(NSF)の新しい調査結果が発表され、Science Newsで紹介されている。(“U.S. Students Flock to Graduate Science Programs” http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2012/06/us-students-flock-to-graduate.html?ref=hp)

アメリカで高等教育を受ける若者の数が減ってきていると言われてきたが、この調査によれば、科学技術の分野での博士号取得者数は過去10年で急激に増加し、これまでで最大となっている。

科学技術の分野での大学院入学者数は、2000年から2010年で35%増加し、556,532人であった。特に、STEM (science, technology, engineering, and mathematics)の分野の大学院入学者数は10年で50%増加していた。

科学技術の分野の大学院入学者のうち30%は外国人であり、外国人が半数を超える分野もあったが、アメリカ人学生と外国人学生の数は10年で同様に35%ずつ増加していた。

さらに、女子学生やマイノリティの増加も著しい。STEM分野での女子学生数は10年で40%増加した。男子学生の増加は30%であった。また、STEM分野でのヒスパニックおよびアフリカ系アメリカ人の学生数は、10年でそれぞれ65%、50%増加した。

政治家たちは、アメリカの高等教育システムは、アメリカの経済的競争力を保つのに必要なハイテク人材を生み出しておらず、これはSTEM分野に学生が魅力を感じていないからだと常に訴えているが、この調査によれば少なくとも大学院に関してはそれらは事実ではない。政治家が、古いデータに基づいた議論をやめて新しいデータを取り入れるのは長い時間がかかるのかも知れない。

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