Nature/Scienceのニュース記事から



第27回(2012年7月20日更新)

脳の大きい動物が生き残る

脳の大きい動物は、変化していく環境の中で絶滅しにくいという分析結果が、保存生物学の学会で報告された。理由はおそらく、脳が大きい方が知性が高く、新しい環境に適応しやすいからだろう。この分析は今後、絶滅危惧種保存のための努力をする際に、優先順位をつけるのに役立つだろう。
http://www.nature.com/news/mostly-the-big-brained-survive-1.11027

脳の大きさと体の大きさには基本的に相関があるが、中には体の大きさに対して脳の大きさが大きい種もあり、これらの種は賢いと考えられる。今回報告された分析では、体に対する脳の大きさが平均的な値からどのくらい外れているかと、そのほ乳類がどのくらい生き残りやすいかを調べた。

体重が10キロ未満の種では、体に対する脳の大きさが大きいほど絶滅しにくいことがわかった。10キロ以上の動物では逆に、脳が大きいことのメリットよりも体が大きいことのデメリットの方が大きかった。大型の動物は生まれてから繁殖できるようになるまでの期間が長く、生まれる子供の数も少ない。また、より多くの食料や広い縄張りが必要であり、さらにはヒトからも見つかりやすく、狩猟されたり生育地が現象することによる影響を特に受けやすい。

しかし、げっ歯類のような小型のほ乳類では、脳が大きい方が有利だ。脳が大きいほど新しい環境に適応しやすく、住みかの変化への適応においても他の動物より優れている。

脳の大きさの他にも、食事・行動圏・生育密度・寿命・成長率などが絶滅可能性と関連があるとされているが、これらを組み合わせて分析すればより正確な予測が可能ではないかと考えられる。

絶滅しやすい種ほど保護するべきだという考え方もあれば、逆に生き残りやすい種が生き残るのを助ける方が効率的だという考え方もある。いずれにせよ、今回のような分析結果は、それを判断する助けになるだろう。

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