Nature/Scienceのニュース記事から



第32回(2012年8月23日更新)

米国NIHが高額研究費受給者からのさらなる申請に追加審査を加える

米国NIHが、既に年間100万ドル(約8000万円)以上の研究費(直接経費)を受け取っている研究者からのさらなる研究費申請書には、追加でもう一段階の審査を課すことを決定した。

近年は研究費の総額は増加せず、申請の採択率が低下しているため、NIHはより広範囲の研究者に研究費を行き渡らせるための方法を模索していた。1人の研究者当たりの研究費に上限を設けるという案もあったが、それでは生産性の高い研究室にとって障害となる懸念が指摘された。

今年になってNIHは、年間150万ドル(約1億2000万円)の研究費(総経費)を受け取っている研究者からの申請に対して追加でもう1段階の審査を課すという提案を出した。追加審査は、その研究計画が高い成果を期待できるものであることと、その研究者の他のプロジェクトと異なるものであることを確認するためであるとした。この提案の最大の問題点は、研究機関によって間接経費が異なるため、間接経費の比率が高い研究機関に所属する研究者が不当に不利な影響を受けることであった。

そこでNIHは最終的に、直接経費で年間100万ドル以上受け取っている研究者を、追加審査の対象とした。今年9月に審査される申請書の中では、総経費150万ドル以上という基準では70件が、直接経費100万ドル以上という基準では89件が追加審査の対象となる。複数の研究者が共同で申請する場合は、全ての研究者が直接経費100万ドル以上の場合のみ対象となる。また、臨床試験は、基礎研究に比べてより高額の研究費を必要とするため、対象外となる見込みである。

昨年秋のNIHによる試算によれば、NIHから研究費を受けている研究者全体のうち6%(約1600人)が年間150万ドル以上の総経費を受け取っている。しかし、最終決定事項の制限により、実際に追加審査を受けるのは全ての申請書の1%未満とされている。

また、この規則は1人当たりの研究費総額に上限を設けるものではないため、実際にどれぐらいの研究費が解放されるのかは不明である。

http://nexus.od.nih.gov/all/rock-talk/
 http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2012/08/nihs-millionaires-to-get-extra-s.html

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