Nature/Scienceのニュース記事から



第57回(2014年2月2日更新)

日本人研究者がストレス刺激により幹細胞誘導に成功

山中伸弥博士がiPS細胞の創出を発表したのは2006年であったが、このたび別の日本人研究者が、幹細胞誘導に関する重要な発見を英科学誌Natureに発表した。この研究によれば、細胞を酸や物理的圧迫などの外的刺激に晒すことにより、幹細胞様の未分化な細胞を誘導できるという。この現象は、stimulus-triggered acquisition of pluripotency (STAP) と名付けられた。

筆頭著者の小保方博士は、細胞をキャピラリーに通すと収縮して幹細胞様の外観を呈することにヒントを得て、各種外的ストレスを細胞に与えて、幹細胞マーカーの発現を調べた。その結果、酸を含むいくつかのストレス刺激で幹細胞マーカーが誘導されることがわかった。

さらに、新生仔マウスの細胞から酸により誘導されたSTAP細胞を蛍光マーカーでラベルしてマウスの胚に移植したところ、体全体が蛍光を発するマウスとなり、移植されたSTAP細胞が全身の体細胞へと分化したことが示唆された。

小保方博士らはさらに、分化段階がよく研究されているT細胞から 酸によりSTAP細胞を誘導し、その様子をビデオで撮影するなどして、この発見をより確かなものとした。

この研究は、小保方博士がハーバード大学に研究員として滞在したときに始め、帰国後は理研で続けたものである。Natureに掲載された2報の論文は、いずれも小保方博士が筆頭著者であり、理研とハーバード大学での共同研究となっている。

現在小保方博士らは、各種体細胞から同様にSTAP細胞を誘導できることを確認しており、今後は同じ現象がヒトでも見られるかが最大の課題となる。

http://www.nature.com/news/acid-bath-offers-easy-path-to-stem-cells-1.14600

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