Nature/Scienceのニュース記事から



第72回(2014年8月5日更新)

ワクチンとナルコレプシーの関連についての論文が撤回される

2010年にグラクソ・スミスクラインが販売した豚インフルエンザのワクチンは、小児においてナルコレプシーを引き起こすことがある。この原因について、2013年12月Science Translational Medicineに論文が発表された。

この論文によれば、ナルコレプシーを起こした人は、覚醒状態を制御する神経伝達物質ヒポクレチンを認識する免疫細胞を産生している。ナルコレプシーの人の覚醒状態を制御する神経細胞のヒポクレチン量は、健康な人に比べて少ない傾向がある。また、ワクチンに使われるインフルエンザタンパクの断片は、免疫細胞を刺激してヒポクレチンを認識するようにさせたりすることも示した。

しかし、今年7月31日に著者らは、この論文を撤回すると発表した。ナルコレプシーの人の免疫細胞は健康な人の免疫細胞よりもヒポクレチンに対して強い応答を示すという、重要な結果の再現が取れないためだという。

ただし、グラクソ・スミスクラインは、元の科学的仮説は本当だと信じており、今後さらに調査していく必要があるとしている。

http://blogs.nature.com/news/2014/07/journal-retracts-paper-linking-vaccine-and-narcolepsy.html

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