海外ラボリポート



佐野晃之 博士 〜米国ニューヨーク大学から(2016年4月8日更新)

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3)研究のマテリアルが入手しやすい環境にある

マテリアルの購入においても、素晴らしいアドバンテージがあります。単純に価格です。日本ではアメリカからマテリアルを購入する場合、輸送費と中間業者へのマージンが必要になります。アメリカでは直接購入ですので、抗体であれば1/2から1/3の価格で購入できます。

特に遺伝子欠損マウスは、日本では約20万円(輸送費込)かかるところを、アメリカでは約3万円(200-300ドル)で購入することができます。また、研究者間での直接のやり取りも日本より簡単な気がします。

4)ポストドクトラルトレーニングの次は独立研究者である

最近では日本にもテニュアトラックが導入されてきましたが、まだまだその門戸は広くありません。アメリカでは大半がテニュアトラックのポジションにつきますので、嫌でも独立を意識します。早い時期から自分自身のキャリアをよく考えていて、Graduateのうちから、ポスドクでどのような知識や技術を身につけ、どのような独立研究者になるのかという青写真をしっかりと描いている若手研究者が多いことに驚かされます。

また、大学や研究所でのCareer developmentのクラスが非常に充実しています。私も週2コマ、60-90分の計8コマのGrant writingやCareer development courseに参加しましたが、参加したことにより、日本では伸ばしきれなかった知識が身につきました。劇的に変わりました。現在留学中の研究者の方にもオススメしているほどです。博士課程2年生なども参加していました。英語が母国語でこのようなトレーニングを若いうちから受けていることも、アメリカから優れた研究が発信される理由の一つだと思います。

5)日本人研究者との強い繋がりが構築できる

日本からの留学者はいろいろな共通の悩みを抱えています。もちろんscienceに関してもです。英語だけで行われるミーティングだけでなく、日本語で議論できるというのは、脳に違った刺激を与えます。

ニューヨークでは医師、研究者が300人ほどいると言われており、幾つもの勉強会が存在します。ボストン、サンフランシスコ等にもそのような組織があります。最近ではUJA(http://uja-info.org/, http://biomedcircus.com/special_02_05.html)という組織が幅広く有用な情報を提供しています。

私も、JMSA New York Life Science Forum (http://jmsa-nyc-forum.org/)の立ち上げに加わり、150人ほどが参加する年に一度のフォーラムを運営しています。この活動を通して出会った素晴らしい方々と、私生活、研究、キャリアなどの情報を共有し、研究生活を有意義なものにしています。留学中は英語を身につけるため、日本人とできるだけ距離をとってと考える方もいらっしゃいますが、こういった日本人同士だからできることを通じて得られるものもあります。 自由に多くの人と議論する、そして助け合うというのがいかに大切かを再認識しました。

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ただし、留学は、もちろんいい点だけではありません。

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